
夜間のおねしょが治らなくて心配



このまま様子を見ていて大丈夫?



もしかしてちょっと異常…?
子どものおねしょはよくあることですが、5歳を過ぎても頻繁に続く場合は、もしかしたら夜尿症の可能性があるかもしれません。
この記事では、子どもの夜尿症の原因や治療、受診の目安についても解説します。
この記事の監修者
医師:木村有佑(きむらゆうすけ)
鳥取大学医学部附属病院 泌尿器科 講師。大分大学医学部医学科卒業。泌尿器科専門医。
現在鳥取大学泌尿器科にて排尿障害を専門に診療をおこなっている。
※本記事の監修者は、記事内容の医学的・専門的な観点からの確認を行っています。掲載されている広告や商品・サービスの選定・評価には関与していません。
夜尿症とは


小さい子どものおねしょは基本的には生理現象で、排尿機能が未熟であるために起こるものです。しかし、5歳以上の子どもで夜間のおねしょが続くときは、夜尿症の疑いがあります。
夜尿症の定義
夜尿症とは「5歳以上の小児で就寝中の間欠的尿失禁で、1ヵ月に1回以上の夜尿が3ヵ月以上続く」ものです。
夜尿症の子どもは5歳で15%、6歳で13%、7歳で10%、8歳で7%、10歳で5%、12~14歳で2~3%、15歳以上で1~2%とされています。夜尿症は成長と共に自然に治っていくケースが多いものの、0.5~数%は解消されないまま成人期まで続くことがあります。
出典:夜尿症ガイドライン2021
夜尿症の原因
夜尿症の原因として、約95%は以下で解説するような発達の未熟さによるものです。残りの5%には泌尿器や神経系の疾患が隠れていることがあります。
1.膀胱の働きが未熟である
膀胱の容量がまだ小さく、少ない量の尿しか溜めることができなかったり、ある程度膀胱に尿が溜まった状態になると膀胱が勝手に収縮してしまうことで、おねしょにつながります。
このような「排尿を抑制する力」が未熟であることが夜尿症の最も多い原因です。
2.抗利尿ホルモンの分泌不足
夜間の抗利尿ホルモンの分泌が少ないことも、夜尿症の原因の一つです。
人間の身体は、ホルモンの働きによって尿量を調節し、身体の水分のバランスを保っています。抗利尿ホルモンは、尿の産生を少なくする働きがあり、通常は夜間睡眠中に多く分泌されるホルモンです。
この抗利尿ホルモンの分泌量が少ないと、睡眠中の尿の量が多くなり、夜尿症につながります。
3.睡眠中の尿意に気づきにくい
大人の場合は睡眠中に尿が溜まると、尿意で目が覚めてトイレに行くことができますが、子どもの場合は夜中に尿意を感じてもなかなか起きることができずおねしょをしてしまいます。
これは、子どもの脳と身体の連携がまだ発達の途中にあるため。
基本的には成長と共に徐々に夜中も起きれるようになりますが、夜尿症の子どもはこの発達がゆっくりなのです。
夜尿症の検査・診断


夜尿症の検査の流れは、一般的に以下のとおりです。
1.問診:おねしょの頻度や時間帯、生活習慣などを聞き取り
2.尿検査:腎臓の機能に問題がないかなどを確認
3.超音波検査(エコー検査):膀胱や尿路の形に異常がないかや腎臓の状態などを確認します
その他必要に応じて、尿流測定と呼ばれる検査をおこない、尿を排泄する速度や膀胱に残った尿の量を調べ、膀胱や尿道の働きを評価します。
これらの検査結果を総合的にみて、夜尿症は以下のタイプに分類できます。
- 多尿型
夜間の尿量が多いタイプ
- 膀胱型
膀胱に溜められる量が少ないタイプ
- 混合型
どちらも混在しているタイプ
夜尿症の治療


夜尿症の最初の治療は生活習慣の改善です。それでも改善が見られない場合には、夜尿症のタイプに合わせて内服などの治療を行います。
生活習慣の見直し
生活習慣の見直しは以下の点に注意します。
- 夕食から寝るまでは3時間程度開ける
- 夕食後は水分摂取を200㏄程度までに制限にする
食事から寝るまで一定の時間をあけたり、寝る前に水分を摂りすぎないことで、夜間の尿量を減らすことができます。
- 寝る前に必ずトイレに行く
寝る前に排尿をし、膀胱を空にしておくことで、夜間の排尿が起こりにくくなります。
- 寝ているときに冷えないようにする
冷えは自律神経を乱し、膀胱の収縮を促すことがあります。布団をはいでしまう場合などは、腹巻などで冷えを予防すると良いでしょう。
- 夜中に無理やりトイレに起こさない
睡眠を遮ると、眠りのリズムが乱れてホルモン分泌に影響することがあるので避けましょう。
- 便秘にならないようにする
便秘になると腸が膀胱を圧迫し、膀胱に貯められる量が減ってしまうことから、夜間の排尿が起こりやすくなります。排便リズムを整えることも、夜尿症改善につながります。
- 失敗しても怒らない
夜尿症はしつけや本人の努力では防ぐことができないものです。怒られてしまうと、それが子どもにプレッシャーとなり、逆に症状を悪化させてしまうことも。後片付けなどの負担は大きいですが、子どもを怒ったり責めたりせず、なるべく前向きな声かけを意識しましょう。
内服治療
内服治療では、夜尿症のタイプに応じて主に2種類の薬が使用されます。
①抗利尿ホルモン製剤
夜間に作られる尿の量を少なくする薬です。
夜になると尿がたくさん出てしまう「夜間多尿型」の子どもに有効です。この薬を使うことで、体が「夜は尿を作りすぎない」状態になり、おねしょの回数を減らすことが期待できます。
②抗コリン薬
膀胱の収縮を抑える薬です。
膀胱に尿を溜められる量が少ない「膀胱型」の子どもに有効です。膀胱排尿筋の異常な収縮を抑制し、尿をためやすくします。
アラーム療法
アラーム療法とは、夜間の排尿があるとお知らせしてくれるような専用のセンサーを装着する治療です。パジャマに専用のセンサーをつけ、排尿した際にセンサーが濡れを感知するとアラームで知らせてくれる仕組みです。
なぜアラーム療法で夜尿症が改善するのか、具体的な仕組みは未だ不明な点が多いです。
アラーム療法は『夜尿症診療ガイドライン2021』でも、治療の第一選択の一つとして推奨されています。
子どもの夜尿症のタイプや生活環境などによって、どの治療法が適しているかは異なります。治療の具体的な方法や進め方については、担当医とよく相談した上で決めるようにしましょう。
「うちの子、夜尿症かも?」と思ったら



まだおねしょがあるけど、受診したほうがいい?
子どものおねしょは自然に治ることも多いですが、具体的にどのくらい様子を見ていてもいいものか、迷う方もいるでしょう。夜間のおもらしの受診の目安は以下のとおりです。
夜尿症の受診の目安
子どものおねしょは自然に治ることも多く、すぐに医療機関を受診しなければならないわけではありません。ただし、以下のような場合には、早めに小児科や泌尿器科への受診をおすすめします。
昼間にも尿や便のおもらしがある場合
夜間のおねしょに加えて、昼間の尿失禁や便失禁がみられる場合は、膀胱や神経系の問題が隠れている可能性があります。早めに医療機関を受診し、原因を確認することが大切です。
お子さんや家族が悩んでいる・困っている場合
「夜尿症診療ガイドライン2021」では、「患者・家族が悩んでいる場合には、積極的に治療を行うことを推奨する」と明記されています。夜尿症は適切な治療によって改善が期待できる疾患です。おねしょが続くことでお子さんの自信や生活の質が損なわれていると感じたら、年齢や頻度にかかわらず、一人で抱え込まず受診を検討してください。
逆に、お子さん本人も家族もさほど困っていない場合は、まず生活習慣の見直しから始め、経過を観察することも一つの選択肢です。
夜尿症疑いの場合、何科を受診したらいい?


夜間のおもらしに悩んでいる場合、小児科や泌尿器科を受診しましょう。
小児科でも、夜尿症専門外来を開設している病院もあります。まずはかかりつけの小児科の先生に相談し、専門の病院を紹介してもらうと良いでしょう。
普段見てもらってる先生なら相談もしやすくて安心だよね
また、受診に向けて家庭で以下のような記録をつけておくのもおすすめです。
- おねしょの回数
- おねしょの時間帯
- 寝る前にトイレへ行っているか
- 夕食後の大体の水分量
- 便秘の有無
完璧に記録する必要はありませんが、メモしておくと診察もスムーズです。
子どもの夜尿症に悩んだら、一人で抱えず専門家に相談しよう
子どものおねしょは自然なこと。年齢を重ね、身体の発達が整えば自然と改善するケースがほとんどです。心配な場合は、家でできる生活習慣の改善から始めると良いでしょう。
それでもおねしょが続く場合、夜尿症の可能性があります。心配な時には一人で抱えこまず、まずはかかりつけの小児科で相談してみましょう。早めに医師へ相談することで、原因を明確にし、より適したサポートを受けることができますよ。
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