導尿とは尿道から管(カテーテル)を入れて、おしっこを身体の外に出す医療的ケアです。子どもの健康を守る大切なケアですが、慣れるまで泣いてしまうことも少なくないため「かわいそう」「どうしたら安心してケアができるかな」と心が痛むこともあるのではないでしょうか。
この記事では、子どもが導尿の時に泣く理由や安心につながるケアの工夫、サポート方法について看護師ママが解説します。
ライター上野筆者自身も、子どもの導尿を日常的に行っています。医療者としての知見と母親としての経験をもとに、おうちでもできる方法を紹介していくので、ぜひ参考にしてください。
▼在宅での子どもへの導尿の方法についてはこちらの記事でも解説しています


子どもが導尿で泣いてしまう理由


子どもが導尿の時に泣いてしまうのには、主に以下の理由があります。
身体的な理由
尿道から管(カテーテル)を入れる際に、痛みや不快感などが伴うことで泣いてしまうことがあります。
特に、まだ導尿を始めたばかりでケアに慣れていない子どもほど、泣いてしまうことも多いです。また、女の子よりも男の子の方が尿道が長いため、導尿に時間がかかり、不快感を訴えやすい場合があります。
心理的な理由
「身体に管を入れられる」という状況自体に、不安や恐怖を感じるのも泣いてしまう理由の一つです。
大人でも「導尿します」と言われたら、不安や緊張を感じるものです。子どもであればなおさらで、「怖い」「どうなるの」という気持ちから泣いてしまうのは自然なことといえるでしょう。また、緊張や不安によって痛みを増強させることもあります。



リラックスしているときの方が痛みが和らぐのは、なんとなく想像がつくのではないでしょうか。緊張でガチガチになると刺激に過敏になるため、痛みや不快感も強く感じるようになります。
体調・環境の影響
普段の導尿ではあまり泣かなくても、体調が悪い時などは刺激に対して敏感になりやすく、泣いてしまう場合があります。
また、慣れない場所やプライバシーが確保しにくい状況での導尿も、不安や緊張が高まりやすくなります。



たとえば、大人でもトイレのドアがいつ開くかわからない状況では安心して排尿できませんよね。デリケートなケアだからこそ、環境面への配慮も大切です。
導尿時に子どもが安心できる工夫



なるべく子どもが泣かずにすむように導尿をしたい…
そんな気持ちは親にとって自然なものです。ここからは、導尿の際に子どもが安心できるような工夫をご紹介します。
声かけや説明で安心感を伝える


「もうすぐ終わるよ」「ちゃんと出てるよ」など優しい声かけをしながらケアすると、子どもも安心できます。
黙って処置されると子どもは余計に不安になりやすいものです。今の状況がわかるような声かけをして、見通しが持てるようにすることが大切です。
また、年齢に応じて絵本や人形を使って「からだに管を入れておしっこを出すんだよ」と簡単に説明するのも効果的です。導尿そのものを描いた絵本は多くはありませんが、子どもは絵や物語を通して理解しやすい傾向があります。



人形やぬいぐるみを使って「この子もがんばってるから、一緒にやってみようね」と“ごっこ遊び感覚”で伝えると、子ども自身も安心してチャレンジできるんじゃ
痛みや不快感を減らす工夫
導尿の際に子どもが泣いてしまう原因のひとつに、痛みや不快感があります。これをできるだけ減らすためには、いくつかの工夫が有効です。
まず、潤滑ゼリーをしっかり使用することで、カテーテル挿入時の摩擦を軽減し、痛みを和らげることができます。また、カテーテルのサイズが子どもに合っているかを確認することも大切です。サイズが合わない場合は、医師に相談して適切なものを選びましょう。
カテーテルは細い方が入りやすい反面、柔らかすぎて膀胱までスムーズに進みにくい場合もあります。特に男の子では尿道が長く屈曲しているため、細すぎるカテーテルでは扱いにくいこともあります。


さらに、導尿の際に強い抵抗感があって進まないときは、無理をせずに一度中止し、医師や看護師に相談することが重要です。尿道を傷つけるリスクがあるだけでなく、子どもに強い恐怖心を植え付けてしまう可能性があるので、無理にケアを進めないようにしましょう。
習慣化して慣れていく工夫
ケアが始まってすぐは泣いてしまうことが多くても、慣れていくうちに徐々に泣かなくなる子も多いです。
毎回同じ場所、同じ手順で繰り返し導尿を行うことで、「いつもの流れ」として定着しやすくなります。その他にも、小さな子どもの場合、お気に入りのぬいぐるみやタオルなど、自分が安心できる“お守りグッズ”を持つことも安心につながります。
外出先でも、お守りグッズを持参すれば安心を感じられるね
それでも泣いてしまったら…?





それでも子どもが泣いてしまう…
安心できるよう気を配っていても、子どもが泣いてしまう時もあると思います。子どもが「怖い」「不安」といった気持ちを感じるのは自然なことで、それを泣くという形で表現しているのです。決して、保護者のせいではありません。
泣いている我が子にケアを行うのはつらいと感じることもあるかもしれませんが、導尿は健康を守るために欠かせないケアです。優しく声をかけながら続けていくうちに、少しずつ親子ともに慣れていくことが多いです。



最初は大泣きしていた子でも、回数を重ねるうちに落ち着いて受けられるようになることも多いんじゃ。
ただし、以下のような場合には自己判断せず、医療機関に相談してください。
・カテーテルがどうしても入らない、抵抗感が強い場合
・激しい痛みや血尿が見られる場合
・泣きが続き、日常生活に大きなストレスとなっている場合
これらは尿道の損傷や感染などが隠れている可能性もあります。無理に続けるのではなく、必ず医師や看護師に相談して解決の糸口を探しましょう。
保護者が安心して導尿を続けるために大切なこと
子どもに安心を与えるためには、保護者自身の不安をケアすることも大切です。
医療者に相談できる環境をつくる


まずは、導尿で困ったときに相談できる連絡先を確認しておきましょう。
カテーテルが入らない、痛みが強いなど心配事がある場合に相談できる場所を持っておくことは、大きな支えになります。
また、導尿の手技に不安がある場合は、医師や看護師から繰り返し指導を受け、自信を持ってケアができるようにしておくことも大切です。不安は一度で解決できなくても、繰り返し確認することで安心感につながります。
保護者自身の不安もケアする


必要不可欠なケアだとわかっていても、我が子が泣いている姿を見ると、「かわいそう」と思ったり「ごめんね」と自分を責める気持ちになったりしてしまうこともありますよね。
導尿は正しく指導を受ければ保護者が実施できる医療的ケアではありますが、尿道に管を入れること自体が保護者にとって大きな心理的負担になるのは当然です。特に、慣れないうちは緊張や不安が強く、ケアの度に精神的に疲れてしまうこともあります。
そんなときは、同じように在宅で導尿を行っているご家族の話を聞いたり、医療者に気持ちを話したりするだけでも、気持ちが軽くなることがあります。無理しすぎずに、自分の気持ちもケアしながら子育てしていきましょう。



筆者は看護師として導尿をした経験は何回もありました。しかし我が子に導尿をするとなると別物で、初めて導尿をした時は緊張でものすごく汗をかいたことを覚えています。子どもが泣いている姿を見て、自分を責めたり、つらくなったりすることもありました。でも、周りに相談しながらケアを続けるうちに、今では日常の一部として導尿を行うことができています。不思議なもので、親がケアに慣れて肩の力が抜けていくと、子どもの緊張もほぐれていくものです。最初は不安なのはみんな同じ。親も子も一緒に少しずつ慣れていけば良いのです。
子どもだけでなく親もケアしながら導尿に慣れていこう!
誰でも初めての医療的ケアは不安なものです。それは子どもも親も同じこと。子どもが泣いてしまうのも自然な反応です。ケアを繰り返すうちに少しずつ慣れていき、やがて生活の一部として自然に行えるようになる日が来るはずです。
安心・安全なケアを第一に、声かけや工夫を取り入れながら少しずつ進めていきましょう。不安なときは無理をせず、周りの医療者に相談したり頼りながら、導尿に慣れていけると良いですね。
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