発達や身体の特性、障がいや医療的ケアの有無にかかわらず、排泄にまつわる困りごとは、子育ての中で誰もが一度は向き合うテーマです。
「トイレでうまくできない」「外出時の対応が不安」「介助の負担が大きい」
――それは、子ども自身の困りごとであり、家族の生活にも大きく影響します。
しかし、「何をどう進めればいいのか分からない」、発達特性や障がい・医療的ケアなどのために「一般的なやり方がそのまま当てはまらない」といった“壁”にぶつかるご家庭は少なくありません。
『子どもトイレ研究所』では、障がい児排泄支援の専門家と連携して、トイレトレーニングを含む“その子に合った”トイレ支援のプロセスを見つけるための道しるべを紹介します。
▼障害児トイレ支援に寄り添う専門家・髙橋賢太郎先生プロフィール
障がい児排泄支援の専門家 髙橋賢太郎先生

理学療法士、公認心理師。横浜市の療育センターで15年、発達障害・肢体不自由児の療育に従事。現在は鎌倉市内の学校・医療機関・通所施設でADL・排泄支援やカウンセリングを提供。
排泄支援ハンドブック「こころと体に合った排泄スタイル」制作に携わり、キッズデザイン賞を受賞。
発達障害や肢体不自由児の療育に携わった25年の経験を元に、理学療法士と公認心理師の双方の視点から、子どもと家族を包括的に支援する専門家。
はじめに
障がい児のトイトレで大切な考え方は次の3点です。
1. 「準備が整うまで」待つ必要はない
2.「できる」から「わかる」へのアプローチ
3. ゴールは「オムツを外すこと」だけではない
障がい児の場合、一般的にトイトレ開始の目安とされる「歩ける」「喋れる」「トイレに興味がある」といった条件が揃うのを待つ必要はありません。早めに始めて、本人のペースで長い時間をかけて取り組むものです。
また、「仕組みを理解してから行動する」のではなく「座ってみたら出た」という成功体験を先に積み重ねることで、後から「感覚」や「意味」を理解していくという逆転のアプローチも有効です。
障がい児のトイトレのゴールは、「トイレで排泄できるようになること」だけではありません。
“トイレで出る・出ない”に限らず、排泄後すぐにオムツを替えられることや、「出た」と伝えられること、交換の場面に落ち着いて協力できることなども大切な前進です。
障がい児のトイトレは結果だけを見るものではなく、心地よさや健康を守りながら、お子さんと保護者が安心して生活できることが本当のゴールといえます。
まずは心構えから!トイトレは“一本道”じゃない。前後しても、休んでも、スキップしても大丈夫

トイトレは、段階をきれいに積み上げていく“積み木”のようなものではありません。
身体の準備・環境の整え方・心理的な要素・発達の段階・感覚の特性・障がいの有無など、多くの要素が複雑に関わっています。その上、その日の体調や気持ちなども影響します。
そのため、
・なかなかうまくいかない
・ある日は順調
・別の日はまったく進まない
・できていたことが急にできなくなる
といった“波”が起きるのも自然なこと。大切なのは、“柔軟に調整すること”です。
時にはステップを戻すのも、少し休むのも、必要に応じてスキップするのも、すべて正しい選択です。「今の子どもにとって心地よい進み方はどれか?」という視点を持つことで、トイトレはもっとラクに、もっと安心して取り組めます。
まずは、障がい児のトイトレの全体の流れを大まかに知りつつ “今の状態に合うところ” からゆっくり始めていきましょう。
▼トイトレの心構えやトイトレの進みに悩んだときに読みたい記事はこちら

【トイトレの全体地図】5つのステップで全プロセスが丸わかり!
トイレ支援は、以下の5つのステップに分けて考えると、とても整理しやすくなります。
| ステップ | このステップでのテーマ | 手順 |
| ①「ドライタイム」の確認 | 排泄のリズムやパターンを知る | 1)ドライタイム(オムツが濡れていない時間)をチェック 2)ドライタイムを記録してみよう 3)ドライタイムを振り返ろう |
| ②トイレに座る | トイレを安心できる場所にする | 1)トイレに入ろう 2)気持ちいいトイレ空間をつくろう 3)座るタイミングをつくろう 4)子どもと“喜び合える”声かけで次につなげよう |
| ③トイレで出す | 成功体験を積み重ねる | 1)トイレに座るタイミングを調整しよう 2)出しやすい姿勢に整えよう 3)子どもと“喜び合える”声かけで次につなげよう |
| ④パンツを履く | オムツ以外の選択肢を持つ・自立を促す | 1)パンツを準備しよう 2)時間・場面を限定してパンツを履こう |
| ⑤トイレの流れを確認する(最後の仕上げ) | 一連の動作を最適化・習慣化する | 1)トイレの流れを振り返ろう 2)サポート方法を考えよう |
ここからは、各ステップを詳しく解説します。
【ステップ①】「ドライタイム」を確認する
トイレ成功への最初のヒントは、“子どもの体の中で起きているリズムを知ること”です。
そのために、おしっこの出た時間よりも、『出ていない時間=ドライタイム』をチェックすることが大切です。
「出た」「出ない」よりも前に、まずは子どものドライタイムを把握しましょう。
▼ステップ①「ドライタイム」の確認について詳しくみる

【ステップ②】「トイレに座る」を習慣化
トイレで出なくても大丈夫!まずは「座る」ことに慣れましょう。
このステップの最大の狙いは、子どもに「トイレ=安心できる場所」だと知ってもらうことです。
実際におしっこやうんちが出なくてもかまいません。まずは座れたこと自体をたくさん褒めて、成功体験にしていきましょう。
▼ステップ②「トイレに座る」の進め方やポイントを詳しくみる

【ステップ③】トイレで出す
ステップ③で初めて「トイレで実際に排泄する経験」を積んでいきます。
「トイレ=排泄する場所」という理解を深めながら、排泄のタイミングに合わせてトイレに座るタイミングを調整します。
また、出しやすい姿勢をとれるよう、環境を整えることも欠かせません。
▼ステップ③「トイレで出す」の進め方やポイントを詳しくみる

【ステップ④】パンツを履く
ステップ④では、パンツを履く経験をしてみましょう。まずは時間や場面を限定して、少しずつパンツの時間を延ばしていきます。
▼ステップ④「パンツを履く」の進め方やポイントを詳しくみる

トイトレ博士パンツへのチャレンジは親にとってもハードルが高いはずじゃ。焦らず無理せず、親子のペースで進めることが肝心じゃよ。
【ステップ⑤】トイレの流れを確認する
最後のステップでは、トイレに行くところから手を洗うまでのトイレの「一連の流れ」を、子どもと一緒に確認します。
・できること/できないことを把握する
・子どもの状況に応じた「できる形」を見つける
・できない部分をどうサポートするか考える(誰に頼むか、道具で補うか)
現状を細かく把握し、一つひとつ解消していきましょう。
▼ステップ⑤「トイレの流れを確認する」について詳しくみる


お子さんに合った始め方・進め方を一緒に見つけてみませんか?


トイレの自立は、ただオムツが取れるという意味ではありません。排泄の習慣が整うことで、学び・心・生活のすべてが前へ動き出します。
どんな特性のお子さんであっても、その子に合った進め方が整理されれば、確かな一歩を踏み出すことができます。
ここでご紹介したトイレ支援の全体像と進め方、それからこの『子どもトイレ相談所』で発信しているトイレ支援のヒントと工夫を参考に、お子さんの心と体に合った排泄スタイルを確立していきましょう。
もし、行き詰まりを感じたり、うまく進まないことがあれば、トイレ支援の専門家と一緒に開設した相談サービスも利用してみてくださいね。
【育児書のように進まないトイトレでお悩みのあなたへ】
「尿意を言葉で伝えられない」 「マニュアル通りのトイトレでうまくいかず、焦っている」 「“様子を見ましょう”“少しずつ進めれば大丈夫”と言われるけど、このままでいいのかな…」 そんなトイトレや排泄ケアに関して「どうしたら…」と悩んでいるあなたへ。
今、1,000組以上の親子を見てきた排泄支援の専門家による『トイトレの進め方』講座を開催しています。
【登壇者】理学療法士・公認心理師 髙橋賢太郎先生
横浜市の療育センターで15年、発達障害や肢体不自由児の療育に従事。制作に携わった排泄支援ハンドブック「こころと体に合った排泄スタイル」はキッズデザイン賞を受賞。理学療法士と公認心理師の双方の視点から、子どもと家族を包括的に支援する専門家。

この講座でわかること
- 言葉で伝えられない子への具体的なアプローチ
- 今日からできる排せつ支援の工夫
- トイトレを始めるタイミングの見極め方
- 焦らず進めるための考え方 など
“その子に合わせた進め方”を、排泄支援の専門家が解説します。
・講師は、1,000組以上の親子を見てきた排泄支援の専門家(理学療法士 兼 公認心理師)
・たった30分の無料講座
・毎日オンライン開催しているので都合に合わせて視聴可能
▼排泄支援の専門家による『トイトレの進め方』講座の詳細はこちらから
みんなのトイトレ体験談
▼【知的障害・4歳女の子】のトイトレ事例
▼【夜尿症・8歳男の子】のトイトレ事例

▼【先天性疾患/体幹機能障害・7歳女の子】の活用事例

▼DFreeについてはこちらの記事で詳しく解説しています!














