「自閉スペクトラム症のわが子、トイレトレーニングがなかなか進まない…」
そのように悩んでいる方はいらっしゃいませんか?自閉スペクトラム症の子どものトイレトレーニングは、その特性に寄り添ったアプローチが有効です。
この記事では、自閉スペクトラム症の子どもがトイレトレーニングでつまずきやすいポイントやその対処法について詳しく解説していきます。「自閉スペクトラム症ならではの困りごとに適した方法を知りたい」と悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
自閉スペクトラム症の子どもがトイレトレーニングでつまずく理由
自閉スペクトラム症の子どもは、感覚の特性やコミュニケーションの違いから、一般的なトイレトレーニング(以下トイトレ)の方法では困難を感じる場合があります。たとえば、つまずきやすい主な理由は以下のとおりです。
感覚の特性があるため

自閉スペクトラム症の子どもは、感覚が敏感、あるいは鈍感な特性があります。
感覚過敏の場合
- トイレの音(水の流れる音、換気扇の音)が怖い
- 便座の冷たさや材質の感触が不快
- トイレットペーパーの触感が嫌
- 排尿・排便の感覚が強すぎて怖い
感覚鈍麻の場合
- 尿意や便意を感じにくい
- 濡れた感覚に気づかない
- おしりが汚れても不快に感じない
これらの感覚特性は、子どもが「わがまま」をしているわけではありません。脳の情報処理の違いによるもののため、理解と配慮が必要です。
「いつもと違う」が不安なため

自閉スペクトラム症の子どもは、予測できる日常のパターンに安心感を持っています。トイトレは、この安定したルーティンに大きな変化をもたらすものの一つです。
たとえば、いままで当たり前だったオムツから布パンツへの変更、好きな遊びを途中で中断してトイレに向かうこと、慣れ親しんだオムツでの排泄からトイレでの排泄への変更など、すべてが「いつもと違う」体験になります。このような変化は、自閉スペクトラム症の子どもにとって混乱や不安の原因となりやすく、トイトレへの抵抗感につながりやすいのです。
言葉で状況や気持ちを伝えるのが苦手なため

自閉スペクトラム症の子どもの多くは、言葉でのコミュニケーションに困難を抱えている傾向があります。そのため、尿意や便意という身体の感覚を適切な言葉で表現すること、「トイレに行きたい」という意思を相手に伝えることのハードルが高くなりがちです。
特に発語が少ない子どもの場合、トイレに行きたい気持ちがあっても、それを周囲の大人に伝える手段が限られてしまいます。自分の気持ちや状況を伝えられないもどかしさや不安が、トイレトレーニングそのものへの拒否感として現れるケースも珍しくありません。
気持ちの切り替えが難しいため

自閉スペクトラム症の子どもの「一つの活動に強く集中する特性」は、大きな強みです。しかし「一つの活動から別の活動への切り替えが困難」ともいえるため、トイトレなどではつまずく要因となってしまう場合があります。
たとえば、楽しい遊びに夢中になっている際に「トイレに行こう」と声をかけられても、なかなか気持ちを切り替えられません。その遊びをやめてトイレまでの道のりを考え、手順を整理し、他のことに注意を向けずにトイレに向かうという一連の流れは、自閉スペクトラム症の子どもにとって非常に複雑な作業なためです。

自閉スペクトラム症のトイレトレーニングを段階的に進めるステップ

自閉スペクトラム症の子どものトイトレでは、段階的にステップを踏むことが大切です。急激な変化を嫌う特性があるため、子どもが混乱しないよう少しずつ進めていく姿勢が成功の鍵となります。
まずは、トイレという場所に慣れることから始めましょう。その後、排泄のタイミングを把握し、絵カードなどの視覚的支援を活用しながら手順を覚えていく方法が有効です。
また、小さな成功体験を積み重ねることで子どもの自信を育て、最終的には自立してトイレができるようになるのを目指します。このような段階的なアプローチにより、子どもの特性に合わせた無理のないトイトレが可能です。
▼トイトレの詳しいステップについては、こちらの記事をご覧ください!

つまずきやすいポイントと対処法
「つまずきやすい理由やトイトレのステップがわかったけど、実際の詳しい対処法も知りたい…!」
そのような方のために、ここでは自閉スペクトラム症の子どものトイトレ中に起こりやすい困りごとと、その対処法をご紹介します。
便座に座るのを嫌がる場合

自閉スペクトラム症の子どもは、感覚過敏により便座の冷たさや硬さ、高さに不安を感じる場合が多くあります。まずは環境を整えることから始めましょう。
- 温かく柔らかい素材の便座カバーで感覚的な不快感を軽減する
- 足がつくことで安定感と安心感を得られるように踏み台や補助便座を活用する
- 服を着たまま便座へ座る練習から開始するなど、段階的に慣らす
子どもが嫌がる理由を観察し「冷たい」「怖い」など具体的な不安要素を特定するのが大切です。無理強いせず、好きなおもちゃや絵本を持参して、トイレを楽しい時間にする工夫も効果的といえます。
毎日同じ時間に座る習慣をつくり、成功したときは大げさに褒めて自信につなげましょう。

おしっこはできるのにうんちができない場合

排便は排尿より複雑な感覚を伴うため、自閉スペクトラム症の子どもにとって特に難しい課題となります。感覚的な不安や恐怖心が原因な場合も多いのが特徴です。
- トイレ内でオムツに排便する練習から始める
- 排便のタイミングを見計らって座らせる
- 好きな音楽や絵本でリラックスできる環境を整える
なお、便秘にならないよう食事や水分摂取にも注意が必要です。無理に排便させようとせず、まずはトイレという空間に慣れることを優先しましょう。成功体験を積み重ねることで、徐々に排便への恐怖心が薄れていきます。
外出先のトイレを嫌がる場合
環境の変化に敏感な自閉スペクトラム症の子どもにとって、慣れない外出先のトイレは大きなストレス要因です。この場合、事前準備と段階的な慣らしが効果的といえます。
- 可能であれば子どもと一緒にトイレを下見する
- スマートフォンでトイレを撮影し、事前に見せて心の準備をさせる
- 慣れた便座カバーやおもちゃなどお気に入りグッズを持参する
最初は、短時間の外出から始めるのがおすすめです。外出先で失敗しても叱らず「次は大丈夫」と励ましましょう。どうしても難しい場合は、オムツを併用しながら徐々に慣らしていく柔軟な対応も必要です。
親も一人で抱え込まない

トイレトレーニングは長期戦になることが多く、親の精神的負担も大きくなりがちです。一人で悩まず、周囲のサポートを積極的に活用するのが子どもにとっても親にとっても重要といえます。
例えば、以下のようなサポートがあります。
- 通っている療育機関で相談する
- 保育園や幼稚園へ相談し、家庭と園での一貫した支援方法を共有する
- 親の会やオンラインコミュニティで同じ悩みを持つ親同士の情報を交換する
子どもの成長ペースは、個人差が大きいものです。そのため、周りと比較する必要はありません。親自身も休息を取りながらトイトレに取り組みましょう。
トイレトレーニングはスローステップで「できた!」を増やそう
自閉スペクトラム症の子どものトイトレでは、感覚過敏や環境変化への敏感さを把握したうえで、子どものペースに合わせることが成功の鍵となります。「便座に座れた」「トイレに入れた」といった些細な進歩も、子どもにとっては大切な成功体験です。
失敗を叱るのではなく、挑戦したことを褒めて子どもの「できた!」を育てていきましょう。そしてサポートする側としても、一人で抱え込まず、専門家や他の支援者と連携しながら長期的な視点で取り組んでいってください。
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