
また、トイレに入ったきり出てこない…



1日に何度もトイレに行きたがるのはなぜ?
と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。朝の忙しい時間帯や外出前にトイレを占領されてしまうと、家族全体のスケジュールにも影響が出てしまうこともありますよね。
この記事では、自閉スペクトラム症のある子どもがトイレにこもる理由と、具体的な対処法を解説します。「どう声をかけたらいいのか分からない」と悩んでいる方は、ぜひお読みください。
自閉スペクトラム症の子どもがトイレにこもる理由


自閉スペクトラム症のある子どもが、トイレに長時間こもったり何度も行きたがったりする背景には、以下のようなさまざまな心理的・感覚的な理由があります。
・トイレが「安心できる場所」になっている
・感覚的な刺激を求めている
・こだわりやルーティンの一部になっている
・不安や緊張を感じている
トイレが「安心できる場所」になっている
自閉スペクトラム症のある子どもにとって、音や光、人の動きなど「周囲からの刺激」を遮断できる場所の確保は非常に大切です。そのため、トイレという静かで狭い空間が、心を落ち着かせる「避難場所」のような役割を果たしているケースは少なくありません。
特に、学校や園から帰宅後にトイレにこもる時間が増える場合は、1日の疲れやストレスを癒やす時間として使っている可能性があります。



ドアを閉めれば自分だけの世界になるトイレは、心のエネルギーを回復させるための大切な場所なんじゃ
感覚的な刺激を求めている
トイレの水を流す音や便座の感触、壁に囲まれた空間の圧迫感などが、子どもにとって心地よい刺激になっているケースも少なくありません。
トイレットペーパーを触ったり繰り返し水を流したりするなど、これは決して遊んでいるのではなく「感覚を整えるための行動」です。自閉スペクトラム症の子どもは、感覚の感じ方が独特な場合があり、特定の刺激を求めて心のバランスを保っています。



自閉スペクトラム症の筆者の娘は、トイレットペーパーを触る感触や、水の流れを見る視覚的な刺激を楽しんでいる様子がみられました
こだわりやルーティンの一部になっている
自閉スペクトラム症の子どもには、決まったパターンや手順を守って安心感を得るという特性があります。そのため「〇時になったらトイレに行く」「何かを始める前には必ずトイレに行く」などのルーティンができている場合、実際に排泄の必要がなくても、そのパターンを守ろうとしてトイレに向かっているかもしれません。
これは、DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)でも「同一性の保持」として診断基準に含まれており、自閉スぺクトラム症の特性としては珍しくありません。



予測できるパターンを維持することで、不安を和らげているんじゃな
不安や緊張を感じている
新しい環境への適応や予定の変更、苦手な活動の前などに不安を感じると、トイレへ頻繁に行きたくなる子どももいます。これは、大人でも緊張するとトイレが近くなるのと同じ心理的な反応です。
ただし、自閉スペクトラム症のある子どもは、その不安や緊張を言葉でうまく表現できない場合が多く、トイレへ行って気持ちを表現しているとも考えられます。「トイレに行く」という行動そのものが、心のSOSサインになっているケースもあるのです。
トイレにこもる自閉スペクトラム症の子どもにどう寄り添う?4つの対処法



トイレにこもる理由はわかったけど、どう寄り添ったらいいの?
そう感じている方へ向けて、ここでは、トイレにこもる自閉スペクトラム症の子どもへの関わり方を考えていきます。焦らず、子どものペースを大切にしながら、以下の4つを試してみてください。
・トイレの代わりとなる「安心できる場所」を用意する
・タイマーやスケジュールの視覚化を活用する
・トイレの代わりとなる感覚刺激を探してみる
・不安や緊張のサインを見逃さないようにする
1. トイレの代わりとなる「安心できる場所」を用意する


トイレが避難場所になっている場合は、トイレの他にも落ち着ける場所を作るのが有効です。例えば、以下のような工夫が考えられます。
・テントやパーテーションで区切った小さなスペース
・クッションや毛布で囲んだコーナー
・押し入れの一部を整理した個室
上記の場所に、子どもの好きなぬいぐるみや本などお気に入りアイテムを置くと「ここにいれば落ち着ける」という新しい選択肢になります。トイレ以外の場所でも安心できるとわかれば、こもる時間が少しずつ減っていくかもしれません。



大切なのは、子どもが「休憩する場所がある」と感じられる環境を整えることじゃ
2. タイマーやスケジュールの視覚化を活用する
トイレにこもる時間が長い場合、タイマーを使って「あと5分で出る時間だよ」と視覚的に示す方法があります。ただし、いきなり短い時間設定にするのではなく、まずは子どもが納得できる時間から始めて、少しずつ調整していくのが大切です。
また、1日のスケジュールを絵や写真で示して「トイレの時間」と「次にすること」を明確にすると、見通しが立ちやすくなって安心感につながります。
自閉スペクトラム症のある子どもは、先の予定が分からないことに強い不安を感じる傾向があるため、視覚的な情報で「次に何が起こるか」を示すのが効果的です。
3. トイレの代わりとなる感覚刺激を探してみる
トイレで感覚刺激を求めている場合は、他の方法でその欲求を満たせないか考えてみます。
・水の音が好きなら、小さな噴水や水槽を設置する
・狭い空間が好きなら、ダンボールハウスを作る
・紙を触るのが好きなら、専用の紙遊びコーナーを作る
子どもが何に惹かれているのかを観察し、トイレ以外の場所で同じような刺激を得られる環境を整えてみてください。トイレでの時間が長いときに「何をしているか」「どんな様子か」を優しく見守ることで、その子が求めている感覚が見えてきます。
4. 不安や緊張のサインを見逃さないようにする


頻繁にトイレへこもるのが不安や緊張からきている場合は、その根本的な原因に目を向ける必要があります。「明日は苦手な活動がある」「いつもと違う予定がある」などの変化が予想される場合は、事前に絵カードやスケジュールボードで説明して、心の準備ができるようにサポートするのがおすすめです。
また、「不安な時はトイレ」というパターンだけでなく、以下のような「トイレに行く以外のストレス解消方法」も一緒に探していくと、子どもの選択肢が広がります。
・体を動かす
・好きな音楽を聴く
・深呼吸の練習 など
トイレにこもる理由は「排尿パターン」から見えてくることも
自閉スペクトラム症の子どもがトイレにこもるのは、実際におしっこがしたいからだけではなく「心を落ち着かせたい」「特定の感覚を味わいたい」という気持ちが大きく影響しています。そのため「いまは溜まっていないからダメ」と止めてしまうと、子どもの居場所を奪うことになり、かえって不安やストレスが強くなってしまう可能性があるのです。
そこで「いつ、どのくらいの時間トイレにいるのか」「実際に排泄しているのか、それともただ座っているだけなのか」など記録をつけてみると、一定のパターンが見えてくるケースもあります。
「排尿パターン」の観察にはDFreeの使用もおすすめ
「DFree」は、膀胱の中のおしっこの溜まり具合を計り、数値で教えてくれるアイテム。
DFreeを使うことで「本当に排泄が必要な時間」と「心を落ち着かせるためにトイレにいる時間」を見分けやすくなります。つまり、子どもの行動がどちらなのかがわかるようになるのです。
この違いが理解できると、本当に必要な場合には優しくトイレを促し、落ち着く時間が必要な時は見守るなど、状況に合わせた声かけや関わり方ができるようになります。排泄のタイミングが可視化されるため、トイトレの負担が軽減されたり、排泄リズムが整いやすくなったりするのも魅力です。
▼DFreeの使い方やメリットについてはこちらの記事で詳しく解説しています


自閉スペクトラム症児がトイレにこもるのは「安心できる場所を求めている」ため
自閉スペクトラム症の子どもが、トイレにこもったり頻繁にトイレへ行ったりする行動は、周りを困らせるための行動ではありません。その背景には、安心できる場所を求める気持ちや感覚を整えたいという欲求、こだわりや不安など、さまざまな理由があります。
大切なのは「なぜこの行動が必要なのか」を理解しようとする姿勢です。すぐに行動が変わらない場合でも、保護者が子どもの気持ちに寄り添おうとすると、親子の信頼関係は少しずつ深まっていきます。
一人で悩まず、使えるサポートは積極的に活用しながら、子どももご家族も無理なく過ごせる方法を一緒に探していきましょう。
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