
子どもに『トイレ行こう』と声をかけても動かない



遊びや動画に夢中になり、ぎりぎりまで我慢して失敗してしまう
こうした悩みを抱える保護者は少なくありません。時には焦って強い言い方をしてしまうことも。
「どうしたら子どもが楽しくトイレに行けるのだろう…」そんなお悩みを抱える方に向けて、
保育士の筆者が、子どもがトイレに行きたくならない理由を整理しながら、家庭ですぐに試せる「子どもがトイレに行きたくなる工夫」を紹介します。
子どもがトイレに行きたがらない主な理由


子どもがトイレに行きたがらない背景には、子ども自身の気持ちや発達段階、環境の影響など、以下のような理由が考えられます。
怖さや不安がある
トイレの暗さや狭さ、水が流れる音、便器の冷たさなどは、大人が思う以上に子どもにとって刺激になります。
また、過去に失敗した時に恥ずかしい思いをしたり、叱られたりした経験があると、「また失敗したらどうしよう」という不安が先に立ち、トイレを避けるようになることもあるでしょう。
遊びや活動に集中している
子どもは目の前の遊びを最優先にしやすく、「区切りをつけてから行く」という判断が難しい場合があります。そのため「あとで行く」が通用せず、気づいた時には間に合わないことも。
トイレに行くタイミングがまだつかみにくい
「トイレに行きたい」という感覚がまだ掴みづらいために、トイレに行きたがらない子どももいます。「そろそろおしっこが出そう」という感覚がはっきり分かる前に急に我慢できなくなり、間に合わないこともあるでしょう。



「出そう」という感覚の育ちは個人差が大きいものなので、しつけや努力の問題ではありません。
園や外出先のトイレに抵抗がある
「家ではできるのに、園や外出先ではできない」という場合、家とは違う環境に緊張しているのかもしれません。他の子どもに見られることへの恥ずかしさや、音や臭いへの不安が影響する場合もあります。
子どもがトイレに行きたくなるための基本的な考え方
子どもがトイレに行きたがらない理由が理解できたところで、具体的な工夫を試す前に、まずは大人側が持っておきたい考え方があります。



この土台があるかどうかで、子どもの受け取り方が大きく変わります。
無理に連れていかない
嫌がる子どもの手を引いてトイレに連れていったり、泣いているのに無理に座らせたりすると、「トイレ=怖い・つらい場所」という印象が残りやすくなります。
その結果、次に声をかけた時に強く拒否したり、逃げたりすることにつながることもあるため、注意が必要です。
また、「行きなさい」「早くして」と急かされる経験が続くと、子どもは「トイレに行きたい」と感じても言い出せず、ぎりぎりまで我慢して失敗してしまう場合があります。
失敗を責めない
失敗を悪いこととして捉えると、子どもはトイレに行きたい気持ち自体を抑えてしまいます。叱られる経験が続くと「出そう」「行きたい」といったサインを言えなくなったり、失敗したことや濡れてしまった下着を隠したりする行動につながることもあるでしょう。
失敗した時は「教えてくれてありがとう」「次はトイレでしようね」といった言葉をかけることで、安心して気持ちを伝えやすくなります。
周りと比べない
兄弟や友達との比較は子どもの自信を削りやすい要因です。「〇〇ちゃんはできるのに」「どうしてできないの?」という言葉は、強いプレッシャーになります。
排泄のペースは一人ひとり違うことを前提に、その子どもの成長を見守る姿勢が重要です。



とはいえ、ついイライラしてしまうこともありますよね。「こんな日もある」と、子どもも自分も責めすぎないことが大切です。
今日からできる!子どもがトイレに行きたくなる工夫


ここからは、家庭ですぐに取り入れやすい具体的な工夫を紹介します。無理なく、できそうなものから取り入れてみてください。
切り替えがしやすい声かけ
子どもが何か夢中になっている時にトイレに誘われると、「今すぐ行こう」「早くして」といった急な声かけが気持ちの切り替えを難しくしてしまうことがあります。その結果、トイレそのものよりも「中断されること」が嫌になっている場合も少なくありません。
声をかける時は、以下のような区切りや選択肢を示す伝え方を意識してみましょう。
- 「この遊びが終わったら行こうか」
- 「時計の針がここに来たら行こう」
- 「今と、もう少しあと、どっちにする?」
このような伝え方をすることで、子どもにとって急に切り替えさせられた感覚になりにくくなります。
また、アラームやタイマーを使うことで「大人に言われたから」ではなく、「合図が来たから」という理由ができ、切り替えやすくなる子どももいます。



トイレを遊びの中断ではなく、ひとつの区切りとして位置づけることがポイントです。
安心できるトイレ環境づくり
トイレを嫌がる背景には、トイレそのものへの不安感や不快感が影響していることも。
そこで、以下のポイントを押さえながらトイレ環境を整えることで、トイレに行きやすくなる場合があります。
トイレに安定して座れるようにする
まず大切なのは、トイレに座った時に足がしっかり床や踏み台につき、安定した姿勢をとれることです。
踏み台や補助便座が合っていないと、座った時に体がぐらつき、不安を感じやすくなります。姿勢が安定するだけで、安心して座れるようになり、トイレの拒否が少なくなる子どももいます。
暗さや寒さ、臭いなどの刺激を減らす
照明を明るくする、冬場は冷えすぎないようにする、臭いが残らないようにこまめに掃除するといった小さな調整でも、トイレへの抵抗感が和らぐことがあります。
トイレを親しみやすい場所にする
子ども自身が選んだ小物やキャラクターのポスターを置くと、「知らない場所」ではなく「なじみのある場所」という感覚が生まれやすくなります。
無理に排泄させようとせず、最初は座るだけでも構いません。トイレの中では、一緒に数を数えたり、ごっこ遊びを取り入れたりしながら、「行かされる」より「一緒にやってみる」雰囲気を作ることが大切です。
ごほうびをうまく使う
ごほうびは楽しくトイレに行くきっかけを作る最初の一歩として効果的な手段です。
ただし、うまく使えば助けになりますが、使い方を誤ると、かえってトイレへの意識がこじれることもあるので注意しましょう。
あらかじめトイレのタイミングを決めておく
トイレに行くタイミングをある程度決めておくことで、声かけするタイミングの迷いやトイレを嫌がる子どもとの押し問答を減らすことができます。
たとえば、以下のようなタイミングで、生活の流れの中にトイレの時間を組み込んでみましょう。
- 起床後
- 外出前
- 帰宅後
- 入浴前
行く・行かないを毎回選ばせるのではなく、「この時間帯はトイレに行くもの」という位置づけにするイメージです。



この時、「今すぐ行こう」と急がせるのではなく「このあとトイレ行ってから〇〇しよう」と、次の行動とセットで伝えると切り替えやすくなります。トイレを特別なイベントにせず日常の一部として扱うことが、習慣づくりのコツです。
工夫しても改善しない時はどうすればいい?


トイトレを嫌がる背景には、声かけやグッズの工夫だけでは解決しにくい理由が隠れていることもあります。家庭でできる工夫を続けていても変化が見られない場合は、別の視点から原因を考えてみることが大切です。
身体的な症状がある時
以下のような場合、身体的な症状がトイレの拒否となって現れている可能性があります。
- うんちが硬い
- 排便の時に痛がる
- 排尿時に違和感がある
- 数日便が出ていない状態が続いている
- お腹を押さえて我慢している様子が見られる
このような様子が見られる場合、小児科への相談を検討しましょう。
トイレへの不安や恐怖がとても強い時
トイレへの不安や恐怖心がとても強いケースでは、発達の特性が関係している場合もあります。
家庭だけで抱え込まず、以下のような場所に相談してみるのも一つの方法です。
- 通っている園や学校
- 療育機関
- 自治体の相談窓口(保健センターや子育て支援センター)
- 小児科 など
専門家に状況を共有することで、対応のヒントが見つかることもあります。
園や学校での困りごとが中心の時
家ではできるのに、園や学校ではトイレに行きづらそうな様子がある場合は、家庭だけで解決しようとしなくて大丈夫。担任の先生や養護教諭に、家での様子や失敗への不安の強さ、我慢しやすい性格であることなどを共有しましょう。
声かけの工夫や行きやすいタイミングの調整、席の配慮など、環境面の調整だけで改善するケースもあります。
子どもがトイレに行きたくなるには「安心」と「習慣づくり」がカギ
子どもがトイレに行きたがらない時は、無理に変えようとせず、家庭でできることを無理のない形で続けていくことが大切です。
昨日できなかったことが、今日はできないままでも問題ありません。すぐには変化がみられなくても、小さな安心を積み重ねることで、少しずつ変化していくものです。
安心できる関わりを土台に、生活の流れの中で少しずつ習慣を作っていきましょう。
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