「どうやってトイトレを進めたらいいかわからない…」「どこまで介助すべき?」
そんな悩みを抱える保護者の方へ。
この連載では、肢体不自由児の排泄支援に長年携わる専門家が、皆さんのリアルなお悩みにお答えします。
質問に答えてくれる先生
障がい児排泄支援の専門家 髙橋賢太郎先生

理学療法士、公認心理師。横浜市の療育センターで15年、発達障害・肢体不自由児の療育に従事。現在は鎌倉市内の学校・医療機関・通所施設でADL・排泄支援やカウンセリングを提供。
排泄支援ハンドブック「こころと体に合った排泄スタイル」制作に携わり、キッズデザイン賞を受賞。
発達障害や肢体不自由児の療育に携わった25年の経験を元に、理学療法士と公認心理師の双方の視点から、子どもと家族を包括的に支援する専門家。
【今回の相談内容】「外出先のトイレを極端に嫌がります」

▼相談者さん
ニックネーム:そらさん
お子さんの情報:6歳・自閉スペクトラム症(ASD)傾向・知的障害なし
お悩み:
年長の男の子を育てています。発達の遅れはありませんが、こだわりが強かったり、音に敏感だったりするところがあり、発達相談ではASD傾向があると言われています。
トイレについては、自宅や園ではほぼ問題なくできています。尿意や便意もある程度わかっていて、自分からトイレに行くことも増えてきました。
ところが、外出先のトイレだけはどうしても嫌がります。
ショッピングモールやレストラン、高速道路のサービスエリアなどで「トイレに行こう」と声をかけても、「イヤ!」と強く拒否することが多く、無理に連れて行こうとすると泣いたり怒ったりしてしまいます。
以前はそれでも何とか時間をかけて済ませていたのですが、最近は便座に座ることを頑なに拒否することも増えてきました。そのため、外出前にトイレを済ませたり、外出中は水分摂取を控えめにしてしまうこともあります。
また、長時間の外出では「もしトイレに行きたくなったらどうしよう」と親の方が不安になり、出かけること自体をためらってしまうことも…。
本人に理由を聞いても、「なんかイヤ」「こわい」と言うだけで、何が嫌なのかはよくわかりません。
家や園ではできているのに、外出先のトイレだけを極端に嫌がるのはなぜなのでしょうか?
また、無理にでも慣れさせた方がよいのか、それとも別の方法で少しずつ練習した方がよいのでしょうか。
お手上げ状態なので、何かアドバイスを頂けたら助かります。
髙橋先生の回答
お出かけは本来、ご家族にとって楽しみなものですよね。それなのに、トイレの不安から出かけること自体をためらってしまうのは本当に悩ましいことでしょう。無理に慣れさせようとするのは、お子さんだけでなくご家族にとっても大きなストレスになりますし、かといって、外出中に水分を控えるのは体にも良くありません。
まずは、ご自宅や園のトイレと、外出先のトイレの「違い」について整理していきましょう。
ASD傾向があり音に敏感なお子さんにとって、使い慣れていない外出先のトイレは「何が起こるか見通しが持てない場所」になっていると想像できます。見知らぬ人の足音や扉の開閉音、そして突然鳴り響く自動洗浄やハンドドライヤーの音などは、大人にとっては気にならなくても、お子さんにとっては恐怖を感じる空間になっているのかもしれません。
無理に慣れさせるのではなく、お子さんが安心できる環境を作るための工夫を試してみましょう。
イヤーマフやヘッドホンを試す
音の刺激を和らげるために、外出先のトイレに入るときだけイヤーマフなどを活用してみるのもおすすめです。
多目的トイレを利用する
多目的トイレであれば、人の出入りが少なく、予期せぬ音も回避しやすいです。また、お出かけ先が違っても多目的トイレ自体は室内の構造が似ている場合が多いため、見通しが持ちやすいのも大きなメリット。男の子でもママと一緒に利用できる点も安心です。
「できた場所」からヒントを探る
外出先のトイレを嫌がる理由だけでなく「ご自宅や園ではできている理由」も振り返ってみましょう。
自分で流す水の音や聞き慣れたお友達の声には不安を感じていないのかもしれませんし、大人から褒められた言葉が大きなきっかけになったのかもしれません。おじいちゃんおばあちゃんのおうちや、遠足で行った公園のトイレはどうでしたか?
「できた場所」に、解決に向けた貴重なヒントが隠されているかもしれません。
ご自宅や園ではできているということは、おしっこやうんちの感覚はしっかり育っている証拠です。
焦らずにお子さんが安心できる「心地よい条件」を一つずつ見つけながら、ご家族で楽しくお出かけできる日を目指していきましょう!応援しています。
トイトレ博士のミニ解説



今回のお悩みには、以下の記事も参考になりそうじゃな
▼外出先でのトイレ拒否のヒントになる記事はこちら


【今回のまとめ】「できない理由」より「できる場所」にヒントがあるかも
- 外出先のトイレを嫌がるのは珍しいことではない
- 音やにおい、人の出入りなどが不安につながることもある
- 「なぜ嫌なのか」だけでなく「どこならできるのか」にも注目しよう
- イヤーマフや多目的トイレなど環境調整も有効な方法
- 無理に慣れさせるより、安心できる条件を探すことが大切



外出先のトイレが苦手でも、家や園でできているなら心配しすぎなくて大丈夫じゃよ。お子さんは「トイレそのもの」が嫌なのではなく、音やにおいなど特定の刺激に困っているのかもしれんのう。まずは「なぜできないか」より、「どこならできるか」を探してみよう。
安心できる条件が見つかれば、お出かけの幅も少しずつ広がっていくはずじゃ。
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