「言葉で一生懸命伝えても、うまくいかない…」
自閉スペクトラム症の子どものトイレトレーニングで、このように悩まれている方も多いのではないでしょうか。そこでおすすめなのが、言葉だけでは伝わりにくい感覚や手順をわかりやすくできる「絵カード」の活用です。
この記事では、自閉スペクトラム症の子どものトイレトレーニングで絵カードを導入するメリットや使う手順などをご紹介します。毎日のトイレトレーニングで不安を感じている方は、ぜひお読みください。
自閉スペクトラム症の子どもがトイレトレーニングで直面する困難

自閉スペクトラム症の子どもは、トイレトレーニング(以下トイトレ)において独特の困難を抱えています。たとえば、感覚過敏により、トイレの音や便座の触感に強い不快感を示すなどです。
また、言葉でのコミュニケーションが難しく「トイレに行きたい」という気持ちを伝えられない場合もあります。さらに、予測できない状況への不安から「いつものパターンと違う」とパニックを起こすケースも少なくありません。
これらは子ども自身がコントロールできない特性のため、保護者の理解とサポートが不可欠です。
▼自閉スペクトラム症の子どもがトイトレでつまずきやすい原因はこちら

絵カードがトイレトレーニングにもたらすメリット
「自分の気持ちを言葉で伝えるのが苦手」
「口での指示や説明を理解するのが苦手なものの、目で見える情報の理解は得意」
そんな自閉スペクトラム症の子どもにとって、絵カードは非常に心強いコミュニケーションツールです。トイトレで絵カードを活用する場合、たとえば以下のようなメリットが得られます。
一目で何をするのかが分かる

絵カードの最大の利点は、複雑な行動や概念を一つの視覚的な情報として提示できる点です。「トイレに行く」「便座に座る」「手を洗う」など、言葉では理解しにくい動作も、絵を見れば瞬時に理解しやすくなります。
絵カードを使うことで迷いや混乱なく次の行動に移しやすいため、トイトレがよりスムーズに進行できるのが特徴です。
手順がわかりやすい
トイトレには複数のステップが含まれており、その順序を覚えることは自閉スペクトラム症の子どもにとって大きな挑戦です。絵カードを順番に並べて手順表にすれば、「最初に何をして、次に何をするのか」が明確になります。
子どもは絵カードを見ながら一つずつ手順を確認でき、自分のペースで進められるのがメリットです。子どもの自立にも繋がります。
記憶に残りやすい

絵カードを繰り返し見ると、トイトレの手順や概念が記憶として蓄積されます。特に自閉スペクトラム症の子どもは視覚的な記憶が得意な場合が多く、一度覚えた絵カードの内容は忘れにくくなるため、おすすめです。
毎日同じ絵カードを使うことで、よりしっかりと記憶に残りやすくなり、最終的には絵カードなしでもトイトレの手順を思い出せるようになります。
混乱を減らせる
自閉スペクトラム症の子どもは、予測できない状況や曖昧な指示に対して強い不安を感じやすい特性もあります。絵カードを使うと「いま何をするのか」「次に何が起こるのか」が明確になり、混乱やパニックを防ぎやすいのもメリットです。
また、言葉での複雑な説明ではなく、シンプルな絵での情報を見せることで、情報処理の負担が軽減されます。
言葉での表現が難しい場合も安心できる

なかには、自分の気持ちや欲求を言葉で表現することに困難を感じている子どももいます。「トイレに行きたい」という感覚があっても、それを周囲に伝えることが難しいため、不安やストレスが高まるのです。
そこで絵カードがあれば、該当するカードを指さしたり手渡したりして、言葉を使わずにコミュニケーションができます。保護者にとっても子どもの気持ちを理解しやすくなるのが利点です。
絵カードを活用したトイレトレーニングの手順
「絵カードの魅力はわかったけど、実際にどう活用していいかわからない…」
そのような方も多くいらっしゃるでしょう。ここでは、実際に絵カードを使ってトイトレを進める際の、段階的な手順をご紹介します。
ステップ1:絵カードに慣れる

まずは、絵カードそのものに慣れてもらうことから始めます。
- トイレの絵カードを見せながら「これはトイレだね」と声をかける
- 子どもが興味を示したら一緒に見る時間を作る
- 強制せず、自然に絵カードに触れる機会を増やす
もしも子どもが絵カードを指さしたり持ったりしたら、大いに褒めてあげてください。
ステップ2:トイレの場所と絵カードを関連付ける

絵カードに慣れてきたら、次は絵カードとトイレという場所を結びつけて理解してもらいます。
- トイレの絵カードを持ってトイレまで一緒に行く
- トイレに着いたら「絵カードと同じだね」と確認する
- 絵カードを見せながら「トイレに行こう」と誘ってみる
最初は、便座に座らずにトイレの中に入るだけでも構いません。「トイレに行くときはこの絵カードを使うんだ」と紐づけていくのが目標です。
ステップ3:手順カードを使った練習

絵カードとトイレが紐づいてきたら、トイレの一連の動作を絵カードで示しながら、一つずつ練習していきます。
- 絵カードを順番に並べて、流れを視覚的に示す
- 一つの動作ができたら次の絵カードを見せる
- 子どもが自分で次の絵カードを取れるようになることを目指す
できた部分は絵カードを裏返したり別の場所に移動させたりして、子どもが達成感を味わえるようにしてみましょう。
ステップ4:子ども主体のコミュニケーション

絵カードの手順に沿ってトイレへ行けるようになってきたら、最終的には、子どもが自分から絵カードを使ってコミュニケーションを取れるようになることを目指します。
- 「トイレに行きたい」絵カードを渡せるようになる
- 困ったときに該当する絵カードを指さしできるようになる
- 絵カードを見ながら自分でトイレの手順を進められるようになる
「最初から最後まで自分でこなせるようになる」だけが自立ではありません。「困ったときに自分のやり方で助けを求められる」のも、立派な自立です。
尿のたまり具合がわかるDFreeも便利

DFreeは、超音波センサーを使用して膀胱内の尿のたまり具合をリアルタイムで計測し、10段階の数値で教えてくれるウェアラブルデバイスです。子どもの尿意を「見える化」できるため、トイレのタイミングを予測することができ、突然の「急いでトイレ!」という状況を避けられます。
おしっこが溜まったタイミングでトイレに誘導できるため、子どもも保護者も納得感を持ってトイレに行けるのが魅力です。
また、DFreeで数字を確認して「もうすぐトイレ」の絵カードを見せると、子どもに心の準備をしてもらう時間を作れます。このように、DFreeと絵カードを組み合わせて使うのも効果的です。
▼DFreeの使い方やメリットについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

自閉スペクトラム症の子どもと絵カードで楽しくトイレトレーニングを
絵カードは、子どもの学びをそっと支える頼もしい味方です。自閉スペクトラム症の子どものトイトレは、絵カードのような視覚的なサポートがあることで大きく変わります。
小さな成功を積み重ね、子どものペースを大切にしながら進めると結果はついてきます。保護者の方も焦らず、絵カードを活用しながら子どもと一緒に成長していく気持ちで取り組んでみてくださいね。
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【登壇者】理学療法士・公認心理師 髙橋賢太郎先生
横浜市の療育センターで15年、発達障害や肢体不自由児の療育に従事。制作に携わった排泄支援ハンドブック「こころと体に合った排泄スタイル」はキッズデザイン賞を受賞。理学療法士と公認心理師の双方の視点から、子どもと家族を包括的に支援する専門家。

この講座でわかること
- 言葉で伝えられない子への具体的なアプローチ
- 今日からできる排せつ支援の工夫
- トイトレを始めるタイミングの見極め方
- 焦らず進めるための考え方 など
“その子に合わせた進め方”を、排泄支援の専門家が解説します。
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みんなのトイトレ体験談
▼【知的障害・4歳女の子】のトイトレ事例
▼【夜尿症・8歳男の子】のトイトレ事例

▼【先天性疾患/体幹機能障害・7歳女の子】の活用事例

▼DFreeについてはこちらの記事で詳しく解説しています!





