【医師監修】トイレの自立に必要な膀胱の発達とは?排尿のメカニズムをわかりやすく解説

【医師監修】トイレの自立に必要な膀胱の発達とは?排尿のメカニズムをわかりやすく解説

子どものトイレの自立を目指すトイレトレーニング(以下トイトレ)。トイトレを始める時期や進み具合に悩む保護者も多いと思いますが、実は、子どもが排尿をコントロールできるかどうかは、膀胱や神経系の発達と深く関わっているのです。

この記事では、医師の監修のもと、排尿の仕組み膀胱の発達の目安についてわかりやすく解説します

トイレの自立に向けた身体の仕組みを理解することで、子どものペースを受け止めやすく、失敗も落ち着いて見守れるようになるので、ぜひ参考にしてください。

この記事の監修者

医師 おkら先生

呼吸器・がん薬物療法・総合内科の専門医として医療現場に携わる一方、重症心身障がい児や発達支援を行う施設の嘱託医として、子どもの多様な成長を見守ってきました。
自身も、発達に特性のある子と定型発達の子、2人の育児を経験中。
子どもの排尿にまつわる困りごとに、「一緒に考える」姿勢を大切にしながら、医学的知見と実体験をもとに情報発信をしています。

X:@oke_et_al

目次

尿はどのようにできる?

白い洋式トイレとトイレットペーパーが設置された明るいトイレ空間

尿は腎臓で血液からつくられます。まず、身体をめぐった血液は腎臓の糸球体という部分で濾過され、不要な老廃物や余分な水分が取り除かれて「原尿」となります。原尿とは、いわば尿の元で、この段階では身体に必要な栄養素や水分がまだたくさん含まれています。

次に、原尿は腎臓の尿細管という部分を通ります。この時、必要な水分や栄養素が再び身体に吸収されることで、身体の水分のバランスが保たれます。再吸収されずに残ったものが、尿として尿管を通って膀胱に運ばれます。

トイレの自立には何が必要?

子どものトイレの自立は、トイトレによるしつけや練習だけで成り立つものではなく、膀胱の発達と神経系の成熟がかかせません。ここからは排尿のメカニズムについて詳しく解説します。

排尿のメカニズム

①尿を貯める(畜尿)

コップに水が注がれている瞬間をとらえた写真

腎臓でできた尿は、膀胱に貯まります。膀胱はゴム風船のような臓器であり、尿が貯まっていくと膀胱が伸びてどんどん膨らみます。尿を貯めるときは、交感神経の働きで膀胱の筋肉(排尿筋)は弛んでいる一方、膀胱の出口である尿道の筋肉(括約筋)は収縮して、おしっこが漏れてしまわないようになっています。

トイトレ博士

膀胱の筋肉が弛んでいるから、尿が増えても膨らんで貯めることができるんじゃな

②尿意を自覚する

粘土をこねて遊ぶ3人の子どもたちがテーブルに向かって作業している様子

ある程度尿が貯まると、膀胱の壁にある神経が刺激され、その刺激が脊髄を通じて脳に伝わります。そして、脳が「おしっこがしたい」という感覚を認識します。これが尿意です

尿意がわかるようになるのは大体2~3歳頃です。ただし、遊びに夢中な時や集中している時には尿意に気づきにくいこともあります。

子どもが尿意がわからなくて悩んでいる人に読んでほしい記事はこちら

③排尿を我慢する

子ども用の補助便座と、それに向かって立っている小さな子どもの足元

尿意を感じても、いつでも排尿できるわけではありません。「今はトイレに行けるのか」を判断し、排尿を我慢する力が必要です。ここには脳(前頭葉)の働きが深くかかわっています

前頭葉は行動コントロールをする司令塔の役割があり、前頭葉が発達することで「今はトイレじゃないから我慢」といった具合に状況を判断し、我慢することができるようになるのです。

この機能が未発達なうちは、「出したい!」と思った瞬間に出てしまうことも。お漏らししてしまうのは、まだ脳が十分に発達していないからです。

トイトレ博士

尿意の自覚だけではなく、脳の働きによって「適切なタイミングで出す」ことが可能になるんじゃ

④排泄する

トイレに座っているが排泄できずに脚をぶらつかせている子どもの様子

排尿する時は、副交感神経の働きがかかわります。尿を貯める時とは反対に、膀胱の筋肉(排尿筋)が収縮し、尿道の筋肉(括約筋)が弛むことで、スムーズにおしっこが出ます。普段何気なく行っていることですが、この「弛める力」「縮める力」を上手に切り替えるのは、実は高度で難しいこと。力みすぎてなかなかでなかったり、途中で止まってしまうこともあります。

トイレくん

繰り返し練習するうちに、スムーズに出るようになるよ

年齢ごとの膀胱・排尿機能の発達の目安

ここからは、膀胱や排尿機能の発達の目安を年齢ごとに解説していきます。あくまで目安として、参考にしてみてください。

新生児~1歳

新生児から1歳頃は、膀胱に尿が溜まると反射的に膀胱が収縮しておしっこがでます。排尿のコントロールはできないため、頻繁に出るのは自然なことです。

1〜2歳

徐々に膀胱に貯められる量が増えてきて、排尿の回数が減ってきます。「おしっこが出た」と知らせる子もいますが、出る前に尿意を伝えることはまだ難しい時期です。

2〜3歳

更に膀胱が発達し、昼間の排尿間隔が2~3時間程度に空いてきます。少しづつ尿意を自覚してくるようになり「おしっこ行きたい」と言える子もいます

3歳~4歳

尿意を感じることができるようになり、トイレに行くまでは我慢できる子が増えてきます。この段階になると「トイレで成功できる」経験が積み重ねやすくなります

トイトレ博士

排尿のメカニズムに照らし合わせると、準備が整っていない段階のトイトレが進みづらいことがよくわかるのぅ

トイレの自立のために大事なポイント

このように、トイレトレーニングの進み具合は膀胱や神経系の発達によって大きく左右されるため、無理に急ぐのではなく、次のポイントを意識してトイレの自立を見守ることが大切です。

膀胱の容量が増えてきたら「まとめて出す」ことができる

頻回に出ていたおしっこが、しっかりとまとめて出るようになるのは成長のサインです。

「我慢できる時間」が延びるとトイレトレーニングがしやすい

トイレを我慢できる=脳の働きが育ってきているということです。この段階だと、失敗もグッと減るはずです。

トイレくん

子どもの発達のペースに合わせることが大切なポイントなんだね

トイトレ博士

事や睡眠など生活リズムを整えることも発達を促す土台になるんじゃ。規則正しい生活は、排尿のリズムも整いやすくなるんじゃよ

身体の発達には個人差がある

大人が子どもに笑顔で声をかけ、やさしく励ましている場面

同じ年齢でも、膀胱の大きさや神経の発達には大きな違いがあります。3歳でオムツが外れる子もいれば、5歳頃まで時間がかかる子、オムツが外れても時折うまくいかない子もいるため、それぞれの発達段階に合わせて進めていくことが大切です。

「どうしてうちの子はまだできないの?」と焦ってしまいがちですが、周りと比較する必要はありません。

保護者にできるのは、「今の発達段階を理解し、子どものペースに合わせて寄り添うこと」。その姿勢が結果的にトイレの自立をスムーズにしていきます。

参考
小児の排尿機能発達・尿失禁症| 日本小児泌尿器科学会
https://jspu.jp/ippan_013.html

【育児書のように進まないトイトレでお悩みのあなたへ】

尿意を言葉で伝えられない」 「マニュアル通りのトイトレでうまくいかず、焦っている」 「“様子を見ましょう”“少しずつ進めれば大丈夫”と言われるけど、このままでいいのかな…」 そんなトイトレや排泄ケアに関して「どうしたら…」と悩んでいるあなたへ。

今、1,000組以上の親子を見てきた排泄支援の専門家による『トイトレの進め方』講座を開催しています。

この講座でわかること

  • 言葉で伝えられない子への具体的なアプローチ
  • 今日からできる排せつ支援の工夫
  • トイトレを始めるタイミングの見極め方
  • 焦らず進めるための考え方 など

その子に合わせた進め方”を、排泄支援の専門家が解説します。

講師は、1,000組以上の親子を見てきた排泄支援の専門家(理学療法士 兼 公認心理師)
たった30分の無料講座
毎日オンライン開催しているので都合に合わせて視聴可能

▼排泄支援の専門家による『トイトレの進め方』講座の詳細はこちらから

みんなのトイトレ体験談

▼【知的障害・4歳女の子】のトイトレ事例

▼【夜尿症・8歳男の子】のトイトレ事例

▼【先天性疾患/体幹機能障害・7歳女の子】の活用事例

▼DFreeについてはこちらの記事で詳しく解説しています!

【医師監修】トイレの自立に必要な膀胱の発達とは?排尿のメカニズムをわかりやすく解説

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よろしければシェアおねがいします!

この記事を書いた人

慢性期病棟での勤務を通じて、排泄ケアや自己導尿の指導などに関わってきました。医療的ケア児である長男の排泄ケアを行いながら、4歳のきょうだいのトイトレにも奮闘中!

目次