
導尿って痛そうでなるべくしたくない…。本当に必要なの?



自宅で、自分でちゃんと子どもに導尿できるのかな。
我が子に導尿が必要になった時に、このような本音と疑問を持つのは自然です。
この記事では看護師である筆者が、導尿の目的や必要となる状態、尿が溜まりすぎることで生じるリスクなどを解説します。これらを知っておくことで、保護者自身の“納得感と自信をもったケア”につながります。



筆者自身も家で子どもの導尿を日常的に行っています。看護師としての視点と、実際の生活をもとにわかりやすく解説します。
導尿とは
導尿とはさまざまな疾患によって、自分の力で尿を出すことが難しい場合に、尿道から膀胱に管(カテーテル)を入れて、身体の外に尿を排泄するケアのことです。
▼導尿の基本についてはこちらの記事で解説しています


導尿の目的


導尿の主な目的は、膀胱に溜まった尿をきちんと身体の外に出すことです。
その他にも尿量や残尿の把握、水分バランスの管理、薬剤の注入のために行われることがありますが、在宅での導尿は「溜まった尿を身体の外に排泄するため」に行われます。
導尿が必要になるのはどんな時?
導尿が必要になるのは「うまく排尿できない状況がある時」です。
具体的には、主に以下のようなケースです。
- 尿が溜まっても排尿できない(尿閉)
- 尿が出にくい(排尿困難)
- 自分で排尿はできるものの、残尿が多い
膀胱に尿が溜まりすぎたり、残尿の中に細菌が増えやすくなったりすると、身体にとってさまざまな悪影響が生じます。
うまく排尿できないと何が起こる?





しっかり排尿できないと、次のようなさまざまなリスクがあるんじゃよ。
膀胱内での細菌の繁殖
尿が長い時間膀胱にとどまると細菌が繁殖しやすくなり、感染症の原因になります。代表的なのは膀胱炎です。
・膀胱炎:膀胱の中で細菌が増えることで起きる感染症。排尿時の痛みや頻尿、残尿感、発熱などの症状がみられる
膀胱内圧の上昇、逆流
膀胱の中に多量の尿が溜まることで、膀胱の中の圧が高まります。すると、尿が腎臓側に逆流することがあります。
尿の逆流が起きると以下のような疾患を発症するリスクがあります。
・水腎症:尿の逆流により腎臓が腫れる
・腎盂腎炎:膀胱内に入り込んだ細菌が尿と共に腎臓に逆流し、感染症を起こす。
膀胱や腎臓の機能低下
腎臓への尿の逆流や感染症を繰り返すことで、徐々に腎臓の機能が低下する可能性があります。



腎臓の機能が低下すると体内の水分や老廃物をうまく排出できなくなり、さまざまな影響が出るんじゃ。
また、膀胱に多量の尿が溜まると膀胱の壁の筋肉が伸びきって収縮しにくくなり、さらに尿が出しづらくなることに繋がることもあります。
導尿はこうしたリスクを防ぎ、身体を守るための大切なケアなんだね
導尿が必要となる主な疾患
子どもで導尿が必要になる背景には、排尿のコントロールに関わる神経の働きに影響する疾患があることが多いです。
代表的な疾患として、次のようなものがあります。
・二分脊椎
・脊椎損傷
・神経因性膀胱
・脳性麻痺 など



その他の疾患でも、神経の働きや膀胱の機能に影響が出る疾患では、排尿しづらくなることがあるんじゃ。
【導尿に関するQ&A】実体験をもとにお答えします
ここからは、子どもに導尿が必要になった時に生じやすい疑問や不安に対して、筆者の実体験を交えてお答えします。
家での導尿はどうやってやっているの?



実際に家で導尿する時はどんな準備をしているの?


カテーテル、潤滑ゼリー、消毒用物品(または清浄綿)を使用します(写真内の下3点)。これらの物品は基本的に病院から支給されます。
カテーテルから出た尿を受けるために、尿器や袋にパッドを敷いたもの(写真右上)を使用しています。



我が家で使用している尿器にはメモリがついているので、そのまま尿量を計ることができて便利です。
筆者の息子は自然排尿もあるので導尿の回数は日によりますが、1日1回~5回の間で導尿しています。
▼導尿の手順や必要物品について詳しくはこちらの記事で解説しています


導尿する際に痛みはある?



導尿の時に痛みはある?泣いたりしない?
基本的には、導尿は正しく行えばそんなに痛みはありません。ただし、導尿を始めたばかりの子どもでは痛みや不快感を感じることもあります。
回数を重ねるうちに慣れてくることが多いですが、慣れないうちは泣いてしまうこともあるかもしれません。そんな時には安心できるような声かけをしてあげましょう。
▼導尿の際の子どもの不安を和らげるにはこちらの記事もおすすめ


家での導尿が不安…正直したくない。



導尿が必要って言われたけど、正直したくない…。でも、母親なのにそんなこと言っていられないよね。
「尿道に管を入れる」わけですから、不安を感じても当然です。ましてや我が子に対して行うなら、心理的な負担もなおさら大きいでしょう。
導尿は身体を守るための大切なケアですが、頭ではわかっていても抵抗感があるのは自然なこと。「親なのに」「自分が頑張らなければいけないのに」という気持ちも沸いてくるかもしれませんが、「ケアが不安」という気持ち自体を否定しなくても良いのです。



筆者は看護師として導尿を行ったことは何度もありましたが、我が子の導尿を始めたばかりの頃は毎回不安で、自分を責める気持ちもありました。親子ともに慣れてきた今ではスムーズにケアできています。経験者でも不安を感じるのですから、全く初めての方が抵抗感を持つのは当たり前です。誰でも初めてのことは不安が大きいもの、信頼できる家族や医療者に気持ちを打ち明けながら、少しづつ進んでいきましょう。
外出時の導尿はどうしてる?



お出かけの時はどうしたらいいんだろう…
筆者はなるべく外出前に導尿して、お出かけの間は導尿しなくて済むようにしています。長時間の外出の際には必要な分の導尿セットを持参して、多目的トイレで導尿します。
外出の際はオムツ用のビニール袋にパッドを入れたものに尿を受けて、オムツ用ごみ箱に捨てています。



家ではベッドに仰向けで寝た状態で導尿していますが、外出時はバギーに座ったまま導尿します。
保護者以外でも導尿できる?



自分だけしか導尿できないと、いつか困ってしまいそう…どうしたらいい?
我が家は筆者だけでなく、夫も導尿をマスターしています。可能であれば、親以外にも導尿ができる人がいると心強いもの。
我が家の場合は、訪問看護師や学校の看護師、通所先の看護師に導尿してもらうこともあります。
また、子どもの障がいの程度によっては、将来的には自分で導尿を行う「自己導尿」を始めていくことも可能です。
学校や通園先などでの導尿はどうしているの?



学校に行っている間は誰が導尿するの?
筆者の息子は看護師が常駐している特別支援学校に通っているため、学校では看護師が導尿してくれます。放課後に通う施設でも同様です。



学校や通園先での導尿には医師の指示書が必要となることが多いので、お願いしたい場合は確認してみましょう。
導尿は身体を守る大切なケア
導尿は怖いものではなく、身体が健康でいられるようにサポートする大切なケアです。膀胱や腎臓を守り、今だけでなくこれから先の生活も安心して過ごすための“手助け”でもあるのです。
最初は戸惑いや心配があっても大丈夫。少しずつ知識や経験が増えることで、「必要なケアをちゃんとしてあげられている」という自信と安心感がきっと育っていきます。
親子にとって自然なケアとして「生活の一部」になっていくまで、ゆっくり一歩ずつ進んでいきましょう。
【育児書のように進まないトイトレでお悩みのあなたへ】
「尿意を言葉で伝えられない」 「マニュアル通りのトイトレでうまくいかず、焦っている」 「“様子を見ましょう”“少しずつ進めれば大丈夫”と言われるけど、このままでいいのかな…」 そんなトイトレや排泄ケアに関して「どうしたら…」と悩んでいるあなたへ。
今、1,000組以上の親子を見てきた排泄支援の専門家による『トイトレの進め方』講座を開催しています。
【登壇者】理学療法士・公認心理師 髙橋賢太郎先生
横浜市の療育センターで15年、発達障害や肢体不自由児の療育に従事。制作に携わった排泄支援ハンドブック「こころと体に合った排泄スタイル」はキッズデザイン賞を受賞。理学療法士と公認心理師の双方の視点から、子どもと家族を包括的に支援する専門家。

この講座でわかること
- 言葉で伝えられない子への具体的なアプローチ
- 今日からできる排せつ支援の工夫
- トイトレを始めるタイミングの見極め方
- 焦らず進めるための考え方 など
“その子に合わせた進め方”を、排泄支援の専門家が解説します。
・講師は、1,000組以上の親子を見てきた排泄支援の専門家(理学療法士 兼 公認心理師)
・たった30分の無料講座
・毎日オンライン開催しているので都合に合わせて視聴可能
▼排泄支援の専門家による『トイトレの進め方』講座の詳細はこちらから
みんなのトイトレ体験談
▼【知的障害・4歳女の子】のトイトレ事例
▼【夜尿症・8歳男の子】のトイトレ事例

▼【先天性疾患/体幹機能障害・7歳女の子】の活用事例

▼DFreeについてはこちらの記事で詳しく解説しています!












