
知的障害のあるわが子、トイトレがうまくいかない…
そんな悩みを抱えている保護者の方は少なくありません。周りの子どもと比べて焦りを感じることもありますよね。
この記事では、知的障害の子どものトイトレでつまずきやすい理由や、子どものペースに合わせた具体的な進め方について解説します。「うちの子のトイトレがなかなか進まない」と悩んでいる方は、ぜひお読みください。
知的障害の子どもがトイトレでつまずくのはなぜ?


DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)では、知的能力障害は「概念的、社会的、および実用的な領域における知的機能と適応機能両面の欠陥を含む障害」と定義されています。
「概念的な領域」とは、言葉やルールといった抽象的な事柄を理解し、物事の意味や手順を整理する力です。「社会的な領域」は声かけや周囲の反応を理解する力、「実用的な領域」では実際に生活の中で行動に移す力を指します。
これをトイトレに当てはめると知的障害の子どもは「トイレでおしっこしようね」という抽象的な概念を理解し、具体的な行動に結び付けることが困難だとわかります。また、体の中で起きていることの認識が難しく「おしっこがしたい」という目に見えない感覚を「トイレに行くべきサイン」として理解するのに時間がかかります。
その感覚を言葉で表現することや、オムツからトイレという新しい環境への適応も大きなチャレンジです。これらは障がい特性によるもので、決して子どもの努力不足ではありません。
知的障害の子どものトイトレの進め方
知的障害のある子どものトイトレで重要なのは「親が子どもの様子を丁寧に観察し、そのサインを読み取ること」です。たとえば、以下の項目を観察してみると、子どもの排泄の傾向が見えてきます。
・何時頃におしっこをすることが多いか
・どんな仕草や表情の変化があるか
・食事や水分摂取との関係はあるか など
次に、そのタイミングに合わせて「トイレに座ってみる」のを始めましょう。「トイレという場所に座る経験」を積むことから始めて、徐々に「ここで排泄する」という概念を理解してもらいます。



成功したら大いに褒め、失敗しても「次は大丈夫」と励ますと、子どもは安心してトイトレに臨めるんじゃ
知的障害の子どもに合ったトイトレでのかかわり方
知的障害の子どものトイトレでは「物事を理解するペースがゆっくり」という特性を考慮して、一つずつ段階的に進める姿勢が成功の鍵です。焦らず、子どもの「わかった」を見守るためのかかわり方を3つご紹介します。
1. 「尿意」という目に見えない感覚を具体的に教える


知的障害のある子どもにとって「尿意」は、理解が難しい抽象的概念の一つです。まずは、以下のように尿意のしくみを具体的に伝えていきましょう。
・排尿の瞬間には「今おしっこが出てるよ」と声をかけて、感覚と言葉を結びつける
・お腹の下を優しく押して「ここがいっぱいになったらおしっこが出るんだよ」と物理的に教える
・コップに水を入れて「いっぱいになったら出るよね」と視覚的に例える
・子どもがもじもじしたりお腹を触ったりしていたら「むずむずするかな?」と確認して、体の変化と言葉を結び付ける機会を増やす



この段階では成功失敗は関係なく「体の中でこんなことが起きている」ことを理解してもらうことが最優先じゃ
2. 尿意を周りの人に伝える方法を一緒に見つける
言葉での表現が困難な場合も多いため、以下のように子どもなりの意思表示方法を見つけて育てていくのも効果的です。
・「おしっこ」だけではなく「ちーち」「しーし」など子どもが言いやすい言葉を受け入れる
・お腹を指差す、手で押さえる、足踏みするなども立派な意思表示として認める
・絵カードや写真を使って意味を教える
・子どもが不機嫌になったり落ち着かなくなったりした際に「おしっこかな?」と聞く
・成功した意思表示は褒めて「伝わったよ!」という経験を積ませる
大切なのは「言葉にこだわらず、子どもが使いやすい方法で意思表示できること」です。
3. 「トイレ」という新しい環境にゆっくり慣れてもらう
新しい場所や状況への適応が苦手なことを考慮して、以下のように段階的にトイレ環境に慣れてもらうのもよいでしょう。
・トイレのドアを開けたまま、廊下から中を眺める
・一歩だけトイレの中に足を入れてみる
・慣れてきたら便器を触ったり、水を流す音を聞いたりして探検する
・ズボンを下ろさずに、服を着たまま便座に座る練習をする
この段階で大切なのは「トイレは怖い場所ではない」だと感じてもらうことです。
4.「尿意→伝える→トイレに行く」の概念を体験で覚える
「膀胱に尿がたまった感覚を覚えたら、『おしっこ』『トイレ』などの言葉やジェスチャーで大人に知らせて、トイレまで歩いて行く」という3つの要素を1つの流れとして理解してもらうため、実際の体験を重ねていきます。
・尿意のサインを見つけたら「おしっこかな?」と一緒に確認する
・子どもが意思表示をしたら「わかった、トイレに行こう」と必ず応える
・「お部屋からトイレまで歩くよ」と実況しながら移動する
・便座に座れただけでも「上手にトイレに来れたね」と褒める
上記の流れを繰り返すと、バラバラの概念がまとまりとして理解されやすくなります。十分な時間をかけて、子どもが「わかった」を待つのが大切です。



「急がず、戻ってもよし」として、子どものペースを最優先に進めていくんじゃ
知的障害の子どもが理解しやすい5つのサポート方法
知的障害の子どもは、言葉だけの説明よりも、絵カードや写真を使った説明や実際に手を動かして覚える方法の方が理解しやすい場合があります。そこで、



アイテムなどを使った具体的なサポート方法が知りたい
そうお悩みの方に向けて、知的障害の子どもの理解が深まりやすい視覚的なサポートや体感的な工夫をご紹介します。
絵カードや写真を活用する


文字が読めない知的障害の子どもでも、絵や写真なら理解しやすい場合があります。そのため、トイレの手順を絵で表した手順書を作ったり、「おしっこ」「うんち」の絵カードを使ったりするのもおすすめです。
絵カードは、トイレへ行く前に見せて説明するとより効果が得やすくなります。成功したらチャート表にシールを貼って「できた」を見やすくすると、やる気アップにもつながるのでおすすめです。
決まった言葉やジェスチャーを使う
「毎回同じ言葉やジェスチャーを使う」を心掛けるのも大切です。「ちーち」「うんうん」など子どもがわかりやすい言葉や、お腹を押さえるジェスチャー、トイレマークを指差す動作などを決めてみてください。
また、家族全員で同じ言葉やジェスチャーを統一するのも重要なポイントになります。
環境を整える
子どもにとって使いやすいトイレ環境を作ることも大切です。足台を置いて安定して座れるようにしたり、好きなキャラクターのグッズを使ったりして、トイレを親しみやすい空間にするとよいでしょう。
明るさや温度を快適な程度に調整したり、音楽を流してリラックスできる空間にしたりするのもおすすめです。子どもが「ここは安心できる場所」と感じられるようになります。
無理に進めようとしない
トイトレが進まないと「早くオムツを取らなければ」と焦ってしまいますよね。しかし、知的障害のある子どもは、理解するまでに十分な時間が必要です。そのため、周囲からの焦りは、かえって子どもにプレッシャーを与えてしまいます。
一度できても、次に失敗してしまう場合もあります。「次はきっと大丈夫」「もう少しだね」と気長に取り組んでいくようにしましょう。
DFreeを活用してみる


DFreeは、超音波センサーを使用して膀胱内の尿のたまり具合をリアルタイムで計測し、10段階の数値で教えてくれます。子どもの尿意を「見える化」できるため、子どもがおしっこのタイミングを理解しやすくなるのが魅力です。
親もおしっこが溜まったことを把握しながらサポートできるため、気持ちよくトイトレができます。
▼DFreeの使い方やメリットについてはこちらの記事で詳しく解説しています


家族や専門機関との連携も大切に
トイトレは、一人で頑張るものではありません。家族全員で協力し、必要に応じて以下の専門機関のサポートも活用すると、子どもにとって最適な環境を作れます。
- 児童発達支援センター
- 療育施設の職員
- 小児科の医師
- 保健センターの保健師など
知的障害の子どものトイトレは、子どもの「理解」を信じてゆっくりと歩もう
知的障害のある子どものトイトレは、概念の理解に時間がかかる分、より丁寧なアプローチが必要です。「尿意とは何か」「トイレとはどんな場所か」「なぜそこに行くのか」の概念を、子どものペースで理解させてあげましょう。
困ったときは一人で悩まず、周りの人や専門機関に相談することも忘れないでくださいね。
【参考】知的能力障害に対する支援と教育|文部科学省
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ojjscn/52/6/52_374/_pdf/-char/ja
【育児書のように進まないトイトレでお悩みのあなたへ】
「尿意を言葉で伝えられない」 「マニュアル通りのトイトレでうまくいかず、焦っている」 「“様子を見ましょう”“少しずつ進めれば大丈夫”と言われるけど、このままでいいのかな…」 そんなトイトレや排泄ケアに関して「どうしたら…」と悩んでいるあなたへ。
今、1,000組以上の親子を見てきた排泄支援の専門家による『トイトレの進め方』講座を開催しています。
【登壇者】理学療法士・公認心理師 髙橋賢太郎先生
横浜市の療育センターで15年、発達障害や肢体不自由児の療育に従事。制作に携わった排泄支援ハンドブック「こころと体に合った排泄スタイル」はキッズデザイン賞を受賞。理学療法士と公認心理師の双方の視点から、子どもと家族を包括的に支援する専門家。

この講座でわかること
- 言葉で伝えられない子への具体的なアプローチ
- 今日からできる排せつ支援の工夫
- トイトレを始めるタイミングの見極め方
- 焦らず進めるための考え方 など
“その子に合わせた進め方”を、排泄支援の専門家が解説します。
・講師は、1,000組以上の親子を見てきた排泄支援の専門家(理学療法士 兼 公認心理師)
・たった30分の無料講座
・毎日オンライン開催しているので都合に合わせて視聴可能
▼排泄支援の専門家による『トイトレの進め方』講座の詳細はこちらから
みんなのトイトレ体験談
▼【知的障害・4歳女の子】のトイトレ事例
▼【夜尿症・8歳男の子】のトイトレ事例

▼【先天性疾患/体幹機能障害・7歳女の子】の活用事例

▼DFreeについてはこちらの記事で詳しく解説しています!














