トイトレの過程で大切なステップの一つが「パンツを履く」ということです。
一般的には、トイトレの準備が整ってからパンツを履き始めることを勧める情報も多いですが、障がい児のトイトレでは「子どもや家族が始めたい」と思ったタイミングでパンツを履き始めてOK。
この記事では、パンツを履く目的や上手な使い方、パンツを使用したトイトレの流れについて解説していきます。
パンツを履いてみよう!

オムツから「パンツ」への移行は、トイトレの重要なステップです。使用するのは布のパンツでも、トレーニングパンツでもかまいません。大切なのは「オムツが濡れた不快感」がわかりやすいことです。
オムツは排泄の不快感を感じにくく、子どもにとって“トイレに行く必要性”を理解しにくいもの。そこで、パンツ履いて排泄の不快感に気づくことで、子どもの意識を切り替えるきっかけになります。
パンツを使い始める時期は?
一般的には「歩ける・喋れる・トイレの間隔が2時間以上空く」といった条件が、パンツを履いてトイトレを始める時期の目安として紹介されることが多いです。
ただし、障がい児のトイトレでは必ずしもこの目安に当てはまる必要はありません。
まだ成功体験がなくても、発語がなかったり、歩行介助が必要でも、パンツを履き始めて大丈夫。親がチャレンジしたいと思ったタイミングや子どもがパンツに興味を示した時など、「やってみようかな」と思えたら挑戦してみましょう。
髙橋先生障がいのあるお子さんや発達に特性のあるお子さんの場合、トイレの習得に時間がかかることもあるため、「早く始めて、ゆっくり時間をかけて進める」というスタンスが大切です。ドライタイムを確認した後にすぐパンツを履いてみる、という進め方でもいいんです。
パンツの上手な使い方
突然オムツからパンツに切り替えると、子ども自身も戸惑うかもしれません。以下のように、時間や場面を決めて少しずつ取り組んでいきましょう。
・最初は30分〜1時間など、時間を区切って履く
・家の中だけなど、安心できる場面から試す
・夜間は無理をしない
親も子も背伸びする必要はないので、無理せずパンツとオムツを状況に応じて使い分けることも、大切な選択肢のひとつです。



パンツの使い方についてわかったら、次は実践じゃ!
【ステップ④| 手順1】パンツを買いに行く


パンツへの切り替えのプロセスは、実際にパンツを履く前から始まっています。まずは、パンツを買いに行く時間そのものをイベントにすることから始めましょう。
親としては実用性も気になるところですが、まずは子どもが「履いてみたい」と思えるパンツを選ぶことが大切です。子どもの好きなキャラクターや色などを考慮して選んだり、実際にお店やネットショップなどから「どれにする?」と子どもに選んでもらったりするのもおすすめです。



“自分で選んだお気に入りのパンツ”をきっかけに、排泄への関心や「自分でやってみよう」という主体性を引き出すことに繋がるんじゃ。
【ステップ④| 手順2】パンツを履く時間を作る
お気に入りのパンツを準備したら、いよいよパンツを履く時間をつくっていきます。
ここで大切なことは「失敗するのは当たり前」という前提を持つことです。まずは履いてみて、失敗も含めた体験を重ねる中で、あとから「トイレで出す」「出たあとの違い」といった感覚が結びついていきます。
また、失敗したときに大人がため息をついたり、焦った様子を見せたりすると、子どもはそれを強く感じ取ってしまいます。大人の心に余裕があるタイミングを選ぶことも、トイトレを続けるための大切なポイントです。
いきなり完全にパンツに切り替える必要はありません。以下の手順で短い時間から始め、段階的に習慣化を目指しましょう。
時間を区切ってパンツを履く
まずは、ドライタイムの時間帯に短時間からパンツを履いてみましょう。
- 最初は30分〜1時間
- 徐々に時間を延ばす(2時間 → 3時間 → 半日)
- 徐々に回数を増やす(1日1回 → 午前午後 → 日中)
- 夜間は無理をしない
▼「ドライタイムとは?」トイトレの最初の一歩!ドライタイムについて詳しく解説している記事はこちら


場面で区切ってパンツを履く
パンツを履いてみる時間と一緒に工夫できると効果的なのが、“場面を限定してパンツを履く”方法です。
- 家の中だけパンツで過ごし、外出時はオムツを使う
- 慣れたら短時間の外出でもパンツを履く



「パンツを履けていてお兄さん(お姉さん)だね!」「先生にかっこいいパンツ姿をみてもらおう」といった声かけをすることで、子どものやる気も上がるんじゃ。
この時、漏れることを心配して5分おきや10分おきなど小まめにトイレへ誘いすぎてしまうと、「少し溜まったら行く」という排尿リズムに慣れてしまい、膀胱が十分に尿を溜めにくくなることがあります。
たとえ失敗したとしても、しっかり膀胱におしっこを溜めてから出す経験を繰り返すことが大切です。「溜まってから出す」を繰り返すことで少しずつ膀胱の容量が育ち、排泄のリズムも整っていきます。
▼排尿のメカニズムと膀胱の発達についてはこちらの記事で詳しく解説しています


パンツでお漏らしが多い場合はどうしたらいい?


前提として、パンツにした直後にお漏らしが増えるのは自然なことです。失敗は「できていないサイン」ではなく、トイトレの途中経過なので、叱らないこと、がっかりした反応を見せないことが大切です。
とはいえ、親としてはお漏らしの片付けや洗濯など負担も大きいですよね。そんなときの対処法をいくつかご紹介します。
オムツを併用する
トイレの失敗による家族の負担はとても大きいです。イライラしてしまったり、疲れているときは無理なくオムツを併用しましょう。



行きつ戻りつで大丈夫じゃよ。
トイレに誘うタイミングを見直してみる
「間に合わなかったこと」よりも、成功しやすいタイミングを探る、という意識に切り替えることも大切です。
たとえば以下のようなサインが見られたタイミングでトイレに誘うことで、成功体験につながりやすくなります。
- モジモジする
- 遊びが止まる
- お腹を押さえる など
ツールを使ってみる
排尿のタイミングがわかりにくい場合、排尿予測デバイスDFree(ディフリー)を使用するのも一つの方法です。
DFreeは下腹部に装着することで膀胱の尿の溜まり具合を計測して、トイレのタイミングをスマホに通知してくれるツールです。「そろそろ出そう」のタイミングが把握できるので、トイレのタイミングを小まめに気にしなくてよくなり、成功体験にも繋がりやすくなります。
【ステップ④】「パンツを履く」のよくある質問
Q1. 頻繁にトイレに行きたがります
頻繁にトイレにいくと膀胱が育ちにくいため、なるべく間隔を空けられるとよいでしょう。
目安としては、最初は2時間おき程度から。慣れてきたら、3~4時間空けるのがよいです。



子ども本人が「どのくらい溜めたらトイレに行きたくなるのか」を体験することは、トイレの自立に向かううえでとても重要です。時間の目安は大切ですが、ただし、トイレ間隔を意識するあまり、子どもがトイレのことを嫌いにならないように注意しましょう。時間はあくまで目安として、行きたがったら連れて行ってあげる。子どもが楽しんでトイレに行っているならば、それを尊重するのもよいでしょう。
Q2. 外出時の失敗が不安で、出かける前に神経質になってしまいます
外出前は「必ずトイレに行かせなきゃ」と気持ちが張り詰めやすいですよね。ただ、出かける前に必ず膀胱を空にする必要はありません。少し溜まっている状態でも問題ないことが多いです。
もし、不安が強い場合には次のような工夫がおすすめです。
- 最初は短時間の外出から始める
- 保育園や療育センターなど、慣れた場所に行く
- 携帯トイレを準備しておく
- 失敗しても着替えやすい服装を選ぶ



親御さんの不安がお子さんに伝わらないよう、余裕を持つことも大切です。
お気に入りのパンツを履いて気長に取り組もう!
パンツへの切り替えは、その子のペースで進めて大丈夫。
お気に入りのパンツを選んだら、楽しい気持ちで取り組むことが何より大切です。大人に余裕がないときは、「一旦オムツに戻ってもOK」という気持ちで取り組んでみましょう。
トイトレは短期間で身につくものではなく、行きつ戻りつを繰り返しながら、少しずつ積み重なっていくもの。焦らずに、子どもと家族に合ったペースで、気長に習慣化を目指しましょう。
▼次のステップはトイトレの総仕上げ!出来ることと出来ないことを整理しよう


【全体像】トイトレの進め方に迷ったら
トイトレの進め方に不安を感じたら、いつでも全体のロードマップに戻って確認しましょう。


「うちの子はトイレ空間を極端に嫌がる…」「抱きかかえるのが難しくなってきたので、道具の相談がしたい」
そんな時は、一人で抱え込まず、専門家への相談も検討してみてくださいね。
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この講座でわかること
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