トイレに座ることができるようになったら、次はいよいよ「トイレで出す」ことを目指すステップです。
この段階では成功・失敗にこだわるのではなく「座ってみた」「トイレに行ってみた」という挑戦そのものを大切にする姿勢が欠かせません。
そのうえで、いくつかのポイントを意識することで「トイレで出す」という成功体験が積みやすくなります。
そこで、この記事ではトイレに座るタイミングの目安やトイレでの姿勢の整え方、声かけの仕方などのポイントについて解説していきます。
【ステップ③| 手順1】トイレに座るタイミングを調整しよう

トイレの成功の鍵は、トイレに座るタイミングです。
排尿のタイミングを予測してトイレに連れて行く
まずは排尿のタイミングでトイレに座ってみましょう。
この時のポイントは、ドライタイムを観察し、排尿記録をつけて排泄の傾向を知っておくことです。ドライタイムが安定している場合には、排尿のタイミングを予測してトイレに連れて行くことで成功体験を積みやすくなります。
▼ドライタイムの確認の方法についてはステップ①の記事で詳しく解説しています

DFreeを活用してトイレのタイミングをはかる
ドライタイムが安定しない場合には、排尿のタイミングを把握するために排尿予測デバイス『DFree(ディフリー)』を使ってみるのもおすすめです。
DFreeは、下腹部に装着することで、膀胱の尿のたまり具合を測定し、10段階の数値で表してくれる機械。排尿のタイミングをスマホやタブレットに通知してくれるため、成功に繋がりやすくなります。
髙橋先生排尿のタイミングがわからず、トイレにいつ座ればいいか迷う方にはぜひ試してほしいです。DFreeをつければ、おなかの中のおしっこの溜まり具合を『見える化』できます。例えば、体調不良の際におでこに手を当てて「熱っぽいな」と思ったら体温計で確認しますよね。これと同じように、DFreeも普段見ている感覚や何となく感じている排泄の傾向やタイミングを「数値」として客観的な指標で表してくれます。
トイレに座る回数を増やす
ドライタイムが安定しない場合には、トイレに座る回数を増やすことも有効です。
おしっこのタイミングがいまいち掴めていなくても、チャレンジの回数を増やすことで、成功する確率もあげることができます。



ただし、排尿のタイミングを予測して連れて行っているわけではないので、「たまたま成功した」という場合もあります。そのため、たとえ一度成功した後に失敗が続いても、「どうしてこの間はできたのにできないの?」と怒ったり責めたりせず、繰り返し続けていくことが重要です!



「1時間に1回座らせないと」といった具合に親が負担に感じるほど頑張りすぎるのは禁物じゃよ。子どもが嫌がっているのに何度も挑戦させるのも、トイレに嫌悪感を持ってしまうので要注意じゃ。
排便しやすいタイミングでトイレに座る
トイトレというと、どうしても「排尿」に目が向きがちですが、実は排便のタイミングでのチャレンジも、成功体験が期待できます。排便の方が子どものサインが分かりやすく、タイミングも予測しやすいためです。
以下のポイントを意識しながら、無理のないタイミングでトイレに誘ってみましょう。
・普段排便しやすい時間帯を把握し、その前後の様子を注意深く観察する
・もじもじする、力む、急に静かになるなど、排便のサインが出ていないか様子を見る
・お腹を「の」の字にやさしくマッサージしたり、お腹の左側を軽く押して刺激する
【ステップ③| 手順2】排泄しやすい姿勢に整えよう
トイレでの排泄のしやすさは、座り方にも大きく左右されます。まずは、お腹に力が入りやすくリラックスしやすい姿勢を整えることが大切です。
排泄姿勢の基本


足裏をしっかり床につける
踏み台などで高さを調整し、力を入れやすい姿勢をつくります。
膝は90度程度に立てる
股関節と膝が安定し、腹圧をかけやすくなります。
上体はやや前かがみに
身体を前に倒し、骨盤を前傾させる姿勢を意識します。
膝を抱えるような姿勢
排尿・排便に関わる筋肉がゆるみやすく、重力も活用できます。



ハンドル(持ち手)のある補助便座を使用している場合、後ろに反り返ったような傾姿勢になりやすいため、可能であれば握らずに済む環境に整えるとよいでしょう。
▼補助便座の種類はこちらの記事でも詳しく解説しています


身体障害のある子どもの場合
身体障害のある子どもの場合は、まず体幹を安定させることがとても重要です。体幹が安定すると、排泄に必要な力を入れやすくなります。
以下の2つのポイントに注目して環境を整えてみてください。


クッション等を使って体幹を支える
クッションや枕、丸めたタオルなどを抱きかかえ、前かがみになる「ボールポジション」と呼ばれる姿勢をつくると、体幹が安定しやすくなります。
踏み台で足元を安定させる
足が空中でぶらぶらしてしまう場合は、踏み台を使用しましょう。足裏が支えられることで、全身の安定につながります。
ただし、踏み台があることで逆に力が入りすぎて足を突っ張ってしまう傾向がある子どもの場合は、無理に踏み台を使わないほうが安定することもあります。



手足に緊張があるお子さんでも、体幹は低緊張なケースが多いといわれています。身体がぐらつくのを何とかしようとして力が入った結果、反り返ってしまうことも少なくありません。大切なのは、「正解の姿勢」に当てはめることではなく、その子の体の状態に合わせて無理のない姿勢を整えることです。
▼障がい児のトイトレにおすすめなアイテムはこちらの記事でも紹介しています




【ステップ③| 手順3】子どものやる気を引き出す声かけをしよう


トイトレでは、子どもがやる気になるような声かけも重要です。子どもが排泄のイメージがつきやすく、また混乱せずにトイレ動作をできるような声かけや、チャレンジしたことを親子で喜び合えるような声かけをしましょう。
以下のポイントを押さえながら、ポジティブなコミュニケーションでトイトレを楽しむことが、次のチャレンジにつながる原動力になります。
排泄を促す声かけをする
トイレに座ったら、「ふんばれ~」「うんとこしょ!」などお腹に力を入れるのをサポートする声かけをしましょう。
また、「ジャーって出てくるかな?」など、擬音や言葉で排泄のイメージを伝えるのもよいでしょう。
終わりの見通しを立てる
子どもが次の行動の見通しが立てられるような声かけをすることで、より落ち着いてトイレに座り、排泄にチャレンジすることができます。
▼声かけの例
・10数えたらおしまいにしようね
・お歌を一曲歌ったらおしまいにしよう
・座って流して、手を洗ったら終わりだよ
・1・2・3おしまい!よくできたね~



ただし「1・2・3で終わりだよ」のように見通しを立てたのであれば、それを変更しないようにすることが大事じゃよ。子どもを裏切らないというのが大切なポイントじゃ。
挑戦したことをほめる
トイトレの成功体験は、必ずしも「トイレでの排泄の成功」だけではありません。「トイレに座ることができた」「出そうとトライすることができた」など、これらも立派な成功体験です。
トイレで出ても、出なくても、挑戦を喜び合う声かけができるとよいでしょう。
▼声かけの例
トイレで出たとき:「すごい!出てきたね!」「次も一緒にやってみよう」
トイレで出なかったとき:「座れたね!」「頑張ったね!」 など
ここで大切なのは、トイレ=“楽しい”“気持ちがいい”という記憶を残すことです。ポジティブな声かけでトイトレを締めくくれるといいですね。
【ステップ③】「トイレで排泄」のよくあるQ&A
Q1. どのくらいの期間続けたらいいですか?
トイトレの進み方には個人差がありますが、目安としては次のような段階をたどるケースが多いです。
・取り組み始めてから初めてトイレで出るまで:数日〜2週間
・トイレで出せる日が増えてくるまで:1〜2か月程度
・比較的安定して出せるようになるまで:1〜2か月程度
うまくいかない日が続いても、「合っていない」「失敗している」というわけではありません。
その子のペースに合わせて続けることが、結果的に一番の近道になります。
Q2. トイレに座っても出ず、オムツにも出てません。どうしたらいいですか?
トイレに座っても排尿がなく、その後オムツにも出ていない場合、尿量そのものが少ない、もしくは尿を溜めすぎている可能性があります。
こうした状態が続く場合は、無理にトイトレを進めようとせず、かかりつけの医師や医療機関に相談し、一度身体の状態を確認することをおすすめします。
「出ない=やり方が悪い」と決めつけず、体調も考慮して考えることが大切です。
Q3. オムツに出ているがトイレで出きません
オムツでは排尿できている場合、トイレでは出しにくい状態になっている可能性があります。まずは、以下のポイントを押さえて「出しやすい環境と姿勢」を整えることから試してみましょう。
・出しやすいように姿勢を整えてみましょう
・ハンドルを握って前傾姿勢になってみましょう
・脚をつけて膝を抱えるくらいにしてみましょう
・トイレに座る回数を増やしてみましょう
タイミング良くトイレに連れていくために、DFreeの使用もおすすめです。
「トイレ成功」のポイントを押さえて、楽しくトイレに行こう
このステップでは「トイレで出た・出なかった」という結果よりも、トイレに座って取り組めたこと自体を成功体験として積み重ねていくことが大切です。
うまくいかない日があっても、それは後戻りではありません。トイレで出なかったとしても「座れたね」「トイレに来られたね」といった前向きな声かけが、次もトイレに行こうという気持ちにつながります。
焦らず、その子のペースで一歩一歩進んでいきましょう。
▼トイレでの排泄にチャレンジできたら「パンツを履く生活」に挑戦してみよう


【全体像】トイトレの進め方に迷ったら
トイトレの進め方に不安を感じたら、いつでも全体のロードマップに戻って確認しましょう。


「うちの子はトイレ空間を極端に嫌がる…」「抱きかかえるのが難しくなってきたので、道具の相談がしたい」
そんな時は、一人で抱え込まず、専門家への相談も検討してみてくださいね。
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【登壇者】理学療法士・公認心理師 髙橋賢太郎先生
横浜市の療育センターで15年、発達障害や肢体不自由児の療育に従事。制作に携わった排泄支援ハンドブック「こころと体に合った排泄スタイル」はキッズデザイン賞を受賞。理学療法士と公認心理師の双方の視点から、子どもと家族を包括的に支援する専門家。

この講座でわかること
- 言葉で伝えられない子への具体的なアプローチ
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“その子に合わせた進め方”を、排泄支援の専門家が解説します。
・講師は、1,000組以上の親子を見てきた排泄支援の専門家(理学療法士 兼 公認心理師)
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みんなのトイトレ体験談
▼【知的障害・4歳女の子】のトイトレ事例
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▼【先天性疾患/体幹機能障害・7歳女の子】の活用事例

▼DFreeについてはこちらの記事で詳しく解説しています!














