【トイレ介助の負担を軽減】持ち上げない介助とは?役立つアイテムや生活の工夫を紹介

トイレ介助の負担を軽減 持ち上げない介助とは?役立つアイテムや生活の工夫を紹介

子どもの身体が大きくなってきて、トイレの際に持ち上げるのが大変…

まだ頑張れそう。でも、この先どうしよう…

子どものトイレの介助に関して、このような本音を抱えていませんか?

そんな方に知ってもらいたいのが「持ち上げない介助」です。持ち上げない介助とは、アイテムや環境の工夫を利用して介助負担を軽減する介助法のこと。

この記事では、持ち上げない介助の考え方について整理しながら、実際に活用できるアイテムや環境の工夫を解説します。

ライター上野

筆者も排泄に全介助が必要な8歳の子どもを育てており、徐々に抱えるのがしんどくなってきました。「抱えるのが難しい」という方はもちろん、「まだ大丈夫」そう思える段階の方も、この先どんな介助をしていけばよいか一緒に考えていきましょう。

目次

持ち上げない介助とは

トイレで大人が子どもの体を支えながら便座に座らせている様子。抱き上げずに安定させるように支援している介助場面。

「持ち上げない介助」とは、介助者が子どもを人力で抱え上げたり、無理な力で支えたりすることを前提としない介助スタイルです。福祉用具や環境の工夫を活用し、親子ともに身体的な負担を減らしながら安全に排泄を行う方法を指します。

どうして持ち上げない介助が必要なの?

持ち上げない介助が必要な理由は、以下の3つです。

  1. 子どもの成長を見据えて「長く続けられる介助」が必要だから
  2. 介助者の体調がいつも万全とは限らないから
  3. 子どもの安全と自尊心を守るため

子どもの成長を見据えて「長く続けられる介助」が必要だから

子どもの成長に伴い、介助の負担は確実に増していきます。

一般的に、介助者が一人で安全に子どもを抱えかかえることができる体重の目安は以下とされています。

  • 男性の介助者:25kgくらい
  • 女性の介助者:15kgくらい
トイレくん

体格や体力によって個人差はあるけど、20kgを超える頃から「以前より重く感じる」「抱えたあとに腰が痛い」といった変化を感じる方が多いみたい

排泄介助は、立ち上がり・方向転換・座らせるといった動作の繰り返しです。一つ一つは短時間でも、毎日積み重なることで身体への負担は大きくなります。

そして、子どもの成長と同時に、介助者である親も歳を重ねます。介助量が増える一方で、介助者の体力が少しづつ低下していくのも自然なこと。その結果、慢性的な腰痛や腱鞘炎、ぎっくり腰、膝や肩の痛みにつながるケースもあります。

「今はできている」からこそ、これから先も安心して続けられる介助方法を考えておくことが大切です。

介助者の体調もいつも万全とは限らないから

室内で女性が膝を抱え、手を組んで顔を伏せている様子。疲れや悩みを抱えているような表情で、介護や育児の負担を感じている場面。

介助をする側の体調も、毎日同じとは限りません。寝不足や疲労が溜まっている日、ケガをしてしまうことだってあるかもしれません。

排泄介助は生活に欠かせない支援のひとつ。だからこそ、体調が万全でない日でも無理なく行える方法を考えておくことは大切です。

持ち上げない介助は、将来に備えるためだけでなく、その日の体調に合わせて選べる選択肢のひとつでもあります。あらかじめ方法を知っておくことで、いざというときの安心につながります。

子どもの安全と尊厳を守る

体重が増えるにつれて、抱きかかえる介助は不安定になりやすくなります。勢いや力任せに身体を持ち上げる、引き寄せるといった動きは、介助者だけでなく子どもにとっても緊張を伴うものです。

つい「ちょっとだけなら大丈夫」「一瞬だから頑張れる」と思ってしまいがちですが、子どもの身体の緊張(突っ張り)が強くなったり、不快を示すこともあるかもしれません。状況によっては、骨折や打撲など思わぬ事態につながる可能性も。

また、身体を持ち上げられるという行為そのものが、子どもにとっては自分の動きをコントロールできない状態でもあります。成長とともに身体が大きくなるからこそ、より安定した姿勢で排泄できる環境を整えることは大切です。

持ち上げない介助は、「介助者の負担を軽減する」だけではなく、子どもが安心して身体を預けられる方法を選ぶという側面もあります。そして、安定した介助は、排泄に集中できる環境づくりにもつながっていきます。

持ち上げない介助はいつから考え始めたらいい?

屋外で車椅子に座っている子どもに、そばにいる人がサポートしている様子。足元にはフットレストがあり、移動や介助の場面が伝わる。

一番のポイントは早めに考え始めることです。目安としては、子どもの体重が15kgくらいになってきた頃。まだ抱っこできる段階で、準備を始めるのが理想です。

なぜなら、いざ工夫が必要になってから準備を始めても、すぐにスムーズに環境が整うとは限らないからです。必要な用具を取り入れようと思っても、大がかりな下準備が必要だったり、急いで選んで失敗してしまうこともあります。

日常生活のすべてに介助を必要とする場合、家族だけの「力仕事」では限界があります。持ち上げない介助は、限界が来た時の最終手段でなく、長く楽しみながら生活するためのコツなのです。

ライター上野

介助用のアイテムは、取り入れた後に慣れるまでしばらく時間がかかります。中には身体の状態に合わせて微調整が必要なことも。早めに情報収集をして、具体的な方法を検討していけると安心です。

介助の負担を軽減できる!具体的な工夫と使えるアイテム

ここからは、持ち上げない介助を行うための具体的な工夫や使える福祉用具・アイテムを紹介します。

持ち上げない介助に活用できる福祉用具・アイテム

介助用の椅子

キャスター付きの座位保持椅子を使用して、座ったままトイレまで移動する方法です。抱えて運ぶ距離を短縮するだけでも、負担は大きく変わります。

トイレくん

キャスターのない座位保持椅子でも、後付けできる場合があるから業者さんに聞いてみてね!

トイトレ博士

もちろん障がい児用バギーや車椅子でも代用できるぞぃ。トイレまでの移動を無理せず行う、というのがポイントなんじゃ

トイレチェア

介助椅子と同様、キャスター機能のついた座位保持椅子です。座面の部分に穴が空いており、座ったままトイレの便器の上で排泄できます。また、座面の下に排泄用のバケツが取り付けられるタイプもあります。

▼障がい児の使えるトイレチェアの商品や購入方法についてはこちらの記事で紹介しています

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介助ベルト

グリップ(持ち手)のついたベルトです。介助する側・される側両方の腰に巻き、移乗時にはベルトのグリップを握って支えます。

完全に持ち上げないわけではありませんが、従来の「ズボンを持つ・わきの下を支える」方法よりも安定性があり、より快適な介助のサポートをしてくれます。

介助用リフト

居室からトイレへの移動や、車椅子から便器への移乗に使用します。吊り具で身体を支えるため、介助者が全体重を抱える必要がありません。タイプによっては、リフトに乗った状態で衣類の着脱が可能なものもあります。

ただし、導入には以下の注意点が必要です。

  • 構造上の制約:梁(はり)の位置や天井の高さによっては設置したくてもできない場合がある。
  • 補強工事の必要性:リフトの種類によっては天井や壁の補強工事が必要になる。
  • スペースの確保:リフトを活用するためには、便器周りや居室に十分な介助スペースが必要
トイトレ博士

「将来使うかもしれない」のであればと思うなら、あらかじめ確認と準備が必須をしておく必要があるんじゃな

排泄予測デバイス『DFree』

スマートフォンと小型の白い機器が並んでいる様子。スマホ画面には数値が表示されており、排尿タイミングなどを管理・記録するデバイスと連携していることがわかる。

DFree』は、下腹部にセンサーを張り付けることで、膀胱の尿のたまり具合を計測する機械です。尿のたまり具合を把握することで、あらかじめ排尿のタイミングを予測することができます。

排尿のタイミングがわかれば、トイレに移乗したのに空振りに終わったり、慌ててトイレに連れて行ったりすることがなくなり、必要な時だけ無理なく介助を行うことができます。

トイトレ博士

持ち上げない介助は、力を使わないことだけでなく、持ち上げる回数を減らすことも同じくらい重要なんじゃ。

持ち上げない介助を行うための環境の工夫

居室での排泄

トイレまでの移動が大変な場合は、無理に連れて行かず、居室に排泄スペースを設ける選択肢もあります。たとえば、以下のような方法です。

  • ポータブルトイレ

ポータブルトイレは、居室に設置できる簡易的なトイレです。

  • キャンプ用コット(折り畳みベッド)

キャンプ用コット(折り畳みベッド)を脱衣所などに設置して、寝た姿勢での排泄やオムツ交換台として利用できます。

そのほかにも、 軽くて自立するマットレスをパーテーション(目隠し)として立てるだけでも、プライバシーに配慮した排泄スペースを作ることができます。

排泄ケアをする際の環境づくりの工夫はこちらの記事でも詳しく紹介しています

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住宅の改修

以下のような住宅改修を行うことも選択肢の一つです。

・扉を引き戸に変える

トイレの扉を引き戸や折戸に変えることで、車椅子のままスムーズに入室できるようにします。また、開口幅を広げることで、介助スペースを確保できます。

・手すりをつける

手すりに掴まることができる子どもの場合、子ども自身の力を利用しながら移乗しやすくなります。

「頑張る介助」から「続けられる介助」へ

大人の手が子どもの手を優しく握って支えている様子。安心感やサポートを感じさせる場面。

子どもの成長と共に介助の負担も大きくなっていきます。その事実は変えられなくても、アイテムや環境の工夫によって介助の負担は軽くできます。

介助者が無理をしない方法は、子どもにとっても安心・安全な方法です。

これから先も子どもとの毎日を重ねていくために、「頑張る介助」から「続けられる介助」へ、介助のあり方を考えていきましょう。

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この記事を書いた人

慢性期病棟での勤務を通じて、排泄ケアや自己導尿の指導などに関わってきました。医療的ケア児である長男の排泄ケアを行いながら、4歳のきょうだいのトイトレにも奮闘中!

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