【排泄ケアのステップ②】環境を整えて“不快”を取り除こう

排泄ケアのステップ② 環境を整えて“不快”を取り除こう

排泄ケアは、「本人の頑張り」や「介助の工夫」だけなく、さまざまな要素から成り立ちます。

たとえば、オムツの選び方や当て方、肌の状態、交換する場所や姿勢など「環境を整える」ことで、本人と介助者、双方の負担軽減に繋がります

この記事では、排泄における“不快”を取り除くために、今日から取り組める「環境の整え方」を、排泄支援の専門家監修のもと解説します。

目次

排泄ケアの環境を整えることで「不快」を減らして「安心」が増える

大人の手と子どもの手が重なり、ピンク色のハートを一緒に包み込んでいます。やさしく支え寄り添うことを表しています

排泄ケアは、オムツやパッドなどの用品、皮膚の状態、交換する場所や姿勢など、複数の要素が重なって「環境」が形づくられています。

これらを整えることで、

  • かぶれや皮膚トラブルの予防
  • 漏れやにおいの軽減
  • 本人の不安や不快感の軽減
  • 介助者の身体的・心理的負担の軽減

といった効果が期待できます。

ただし、大切なのは「完璧を目指さないこと」。“今より少し快適”“今より少しラクになる”くらいを目標に、無理のない範囲で取り組んでいきましょう。

【排泄ケアのステップ②|手順1】オムツ・パッドを見直そう

サイズごとの紙おむつと青い使い捨てシートが、黒いかごの中に整理して収納されています。交換しやすいよう準備された様子です

オムツやパッドが身体に合っていないと、不快感・漏れ・かぶれといったトラブルが繰り返されやすくなります。

まずは、サイズ・当て方・重ね方を確認することが、環境調整の第一歩です。

オムツ・パッドの見直しのポイント

はじめに、今使っているオムツやパッドが子どもの身体に本当に合っているかを確認してみましょう。

サイズ表だけでなく、身体の変形や筋緊張の強さ、動きやすさも含めて「フィット感」を見ることが大切です。

体の変形や筋緊張に合わせ、隙間ができにくい当て方を意識する

特に意識したいのは、オムツと身体に隙間ができていないかどうかです。


筋緊張が強い子どもや左右で緊張の入り方に差がある場合などは、どうしても空間ができやすくなるため、パッドの当て方に工夫が必要です。できるだけ身体のラインに沿うように、パッドの当てる位置や角度を微調整してみましょう。

背中漏れが気になる場合は、マジックテープの留め方を工夫する

背中からの漏れが気になる場合は、マジックテープの留め方を見直すことがおすすめです。

オムツのテープを真横(平行)ではなく、斜めに留めることで腰回りのフィット感が高まります。

テープが左右1本タイプの場合

テープを下向きに斜めに留める

テープが左右2本タイプの場合

下側のテープを上向き、上側のテープを下向きに斜めに留める(クロス留め)

パッドは中央をつまんでギャザーを立たせ、その間に陰部を収める

パッドを当てる際は、中央を軽くつまんでギャザーを立たせ、その間に陰部を収めることがポイントです。

指を入れてパッドを広げてしまうと、ギャザーが寝てしまい、かえって漏れやすくなるため注意しましょう。

パッドの使用枚数は1枚が基本

パッドの重ねすぎにも注意が必要です。漏れを防止するために複数枚使用したくなるかもしれませんが、重ねることでフィット感がなくなり、すき間から漏れてしまう可能性が高まります。

重ねることで吸収量を増やすよりも、フィット感を優先する方が、結果的に漏れにくくなる場合も。また、蒸れやすくなるため肌トラブルのリスクも高まります。

とはいえ、外出先にユニバーサルトイレがなかったり、どうしても交換が難しい場面では、漏れを防止するためにやむを得ず複数枚使用することもあるかもしれません。オムツメーカーとしては推奨されない方法ですが、現実的には必要な場面はあるものです。

その場合は、2時間に1枚程度を目安に、できるだけ早めの交換を心がけましょう。

オムツやパッドに関するよくあるお悩み

オムツやパッドを見直そうとしても、実際にはさまざまな壁にぶつかります。

「サイズを上げれば解決する」という単純な話ではないことも多く、体格や特性によって、選択肢が限られてしまうケースも少なくありません。

【よくある悩み①】サイズの“中間がない”問題

よくあるのが、ウエストと足回りのバランスが合わないという悩みです。

  • ウエストに合わせると、足回りがぶかぶかになってしまう
  • 足回りに合わせると、今度はウエストがきつく感じる

このように、身体のバランスに合うサイズが見つからず、結果として漏れやすさや不快感につながってしまうことがあります。

また、成長過程にあるお子さんや小柄な体格の場合、子ども用と大人用の“中間サイズ”がないことに悩むご家庭も少なくありません。どちらも合わず、「選ぶものがない」と感じてしまうケースも多いのです。

【よくある悩み②】身体の特性による“フィットしにくさ”の問題

もう一つ多いのが、身体の左右差や筋緊張の影響です。


左右で緊張の強さが異なる場合、片側だけ隙間ができたり、反対側には強く当たってしまったりと、フィット感が安定しません。その結果、パッドを何枚も重ねることになり、動きにくさや蒸れ、見た目の問題につながってしまうこともあります。

こうしたオムツやパッドに関するお悩みは、多くのご家庭が同じように悩んでいます。

オムツやパッドのお悩みを解決するヒント

なかなか合うオムツが見つからない」「どれを選べばいいのかわからない」と感じたときは、オムツメーカーの相談窓口を活用するのも一つの方法です。

最近では、体型や特性に合わせた製品の提案やオムツの当て方のアドバイスを受けられる場合もあります。

サンプルやお試しセットを取り寄せて、実際に使い比べてみることで、 “なんとなく選ぶ”から“根拠を持って選ぶ”へと変えていくことができます。

オムツの吸収量や構造など、「性能」を知るだけでも選び方の視点は大きく変わります。使える情報や支援を上手に活用していきましょう。

髙橋先生

製品も日々進化しています。オムツ選びに迷ったらメーカーの窓口なども活用しましょう。

【排泄ケアのステップ②|手順2】お肌を守ろう

大人の指を赤ちゃんの小さな手が握っています。安心感や親子のつながりを感じさせる様子です

排泄ケアにおいて、スキンケアはとても重要です。皮膚トラブルの多くは日々の小さな刺激の積み重ねによって起こります。

合言葉は「清潔にする」「守る」「早く替える」の3原則

排泄ケアでは、「清潔にする」「守る」「早く替える」を意識して、具体的には以下のようなケアを心がけましょう。

  • やさしく拭いて(または洗って)、清潔を保つ
  • ワセリンなど皮膚の保護剤を使用し、刺激や汚れから守る
  • できるだけ早めにオムツを交換して、湿潤環境を避ける

特に、おしりや股のまわりが尿や汗で長時間“湿ったまま”になっている状態(湿潤環境)では、皮膚のバリア機能が弱くなり、ちょっとした摩擦や刺激でも赤み・ただれ・かぶれといったトラブルが起きやすくなってしまいます。蒸れやすい部分は、特に丁寧なケアが必要です。

肢体不自由児や医ケア児の注意したいポイント

肢体不自由や医療的ケアが必要な子どもの場合、筋緊張や関節の動かしにくさといった身体の特徴によって、特にオムツの中が蒸れやすく、皮膚トラブルが起こりやすい状態になりがちです。

  • 筋緊張が強く、足が交差しやすい
  • 股関節が開きにくく、蒸れやすい
  • オムツがずれやすく、ギャザーの擦れが起きやすい

上記のようなケースでは一般的なケアだけでは対応しきれないことも多く、 “その子の身体の状態に合わせた配慮”が大切です。

また、オムツの性能が向上していることで、フィット感が強くなり、逆に皮膚への負担が増えるケースも。だからこそ、トラブルが起きる前の予防的スキンケアがとても重要なのです。

【排泄ケアのステップ②|手順3】オムツ交換の環境をつくろう

排泄ケアの“場所”を整えることもとても大切なポイントです。

たとえば、日中過ごす場所と排泄ケアをする場所を分けることで、気持ちの切り替えがしやすくなり、プライバシーも守られます。カーテンやロールスクリーン、パーテーションなどを使い、安心できる空間をつくりましょう。

トイレくん

排泄ケアもトイレと一緒だもんね!“いつもの場所”と“ケアの場所”を分けられると、本人にとっても気持ちを切り替えられて「自律」につながるね。

身近なものでできる環境づくりの工夫

排泄ケアの環境づくりとして、以下のようなアイテムを活用するのも選択肢の一つです。

折り畳みヨガマット

アウトドア用マット

IKEAのマットレス

青いマットレスが立てかけてある部屋の内部の写真
マットレスを折りたたんでいる状態
青と紺のマットが床に敷かれている様子
マットレスを開いたところ

PLUFSIG ペルフスィッグ折りたたみ式ジムマット

https://www.ikea.com/jp/ja/p/plufsig-folding-gym-mat-blue-70552267

突っ張り棒式カーテン

また、狭い場所や不安定な姿勢での介助は、転倒やケガのリスクを高めます。可能な範囲でいいので、以下のような住環境の工夫も検討しましょう。

  • 扉を引き戸にする
  • 介助スペースを確保する
  • 動線を見直す

におい対策も大事な配慮

生活空間ににおいが広がらないための工夫は、本人だけでなく家族の快適さにもつながります。効果だけでなく、安全性にも配慮してケア用品を選べると安心です。

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【排泄ケアのステップ②|手順4】出しやすい姿勢を探そう

子どもが仰向けに寝て、お腹に手を当てています。お腹の不快感や違和感を感じている様子を示しています

排泄のしやすさは、オムツやスキンケアだけで決まるものではありません。「どんな姿勢で過ごしているか」も、排尿・排便のしやすさに大きく関わっています。

ただし、出しやすい姿勢をつくることに着目しすぎて、無理な姿勢を取らせないように注意しましょう。
子どもの身体の状態や緊張、医療機器の有無などを踏まえ、無理のない範囲で“出やすい方向に近づける”という考え方が大切です。

ここでは、姿勢づくりの基本的な考え方と、座位が難しい場合でも取り入れやすい工夫について紹介します。

出しやすい姿勢のポイント

最も排尿・排便がしやすい姿勢は前傾姿勢です。前傾姿勢は、腹圧がかかりやすく、恥骨直腸筋などがゆるみやすい体勢のため、排尿・排便がスムーズになりやすいのです。

座って排泄する場合も、上体を少し前に倒すだけで、出やすさが変わることがあります。

そのため、可能であれば前傾姿勢で排泄できるのが理想的ですが、前傾姿勢が負担になる子どももいます。筋緊張の強さや関節の状態によっては、トラブルにつながる可能性もあるため、無理は禁物です。

座位が難しくてもできる簡単な工夫

「座ることができないから、姿勢づくりは難しい」と感じる方も多いかもしれません。しかし、座位が難しい場合でも、座っている状態に近づける工夫は可能です。

  • 腹圧をかけやすいように、ベッドの背上げ(ギャッチアップ)を行って上体を30度くらい起こす
  • 筋肉の緩和のために、股関節を曲げる(座っているときと似た骨盤の角度でリラックスする)

こうした工夫によって、「完全に座れなくても、排泄しやすさが変わる」というケースも少なくありません。

ベッド上でもできる前傾姿勢のサポート方法

ベッド上で姿勢を調整する場合には、安定感とリラックスを意識することが大切です。

以下のような方法をとることで、前傾に近い姿勢をつくることができます。

  • ベッドを約30度ギャッチアップ(背上げ)する
  • 三角クッションなどを使って上体を支える
  • クッションなどを抱きかかえるようにして、体幹を安定させる(トイレで前かがみに座っている時と同じような股関節の角度で、お腹を膝に近づけるようなイメージ)
室内の介護用電動ベッドで、背上げした状態のベッドに子どもが横になり、三角クッションと複数の枕で上半身を支えながらグレーの掛け布団をかけて休んでいる様子
トイレくん

場合によっては、これらを組み合わせることでより前傾姿勢に整えやすくなることも。でも、くれぐれも無理はしないようにしてね。


特に緊張が強いお子さんの場合は、クッションなどを抱えることで安心感が増し、身体がゆるみやすくなることもあります。

大前提は「安全第一」

姿勢づくりにおいて、最も大切なのは安全を最優先することです。

筋緊張が強いお子さんや、脱臼・骨折のリスクがあるお子さんでは、無理な姿勢調整が思わぬ事故につながることがあります。

また、経管栄養や人工呼吸器などの医療的ケアがある場合、姿勢を変えた拍子にチューブ類が抜けてしまうなどのリスクもあります。「排泄のしやすさ」よりも、まずは安全に過ごせることを大切にしましょう。

決して無理はせず、必要に応じて主治医や担当のPT・OTなどの専門職にも相談してみてください。

髙橋先生

姿勢や環境の“正解”は一つではありません。お子さんの状態やお薬、必要な医療的ケアに合わせて、安全第一で支援者の助言を得ながら進めていくことが大切です。

環境を整えることは“排泄のしやすさ”を支える土台

排泄ケアのステップ②は、これまでのやり方を大きく変えるものではありません。

この記事で紹介した内容は、おそらく皆さんが「すでにやっていること」の延長線上にあることで、その中で特に大切にしたいポイントを整理するためのヒントです。

オムツの当て方や肌のケア、交換する場所や姿勢――


それぞれを少し意識するだけで、「ここは工夫できそう」「これは無理しなくていいかも」「こうするとちょっと快適になるかな」と、見え方が変わることもあります。

できるところから、少しずつ。無理のない範囲で、本人も周りも“今より少し心地よく過ごせる”排泄ケアの環境づくりを続けていきましょう。

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この講座でわかること

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みんなのトイトレ体験談

▼【知的障害・4歳女の子】のトイトレ事例

▼【夜尿症・8歳男の子】のトイトレ事例

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▼DFreeについてはこちらの記事で詳しく解説しています!

排泄ケアのステップ② 環境を整えて“不快”を取り除こう

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この記事を書いた人

フリーランス編集者/ライター。2021年生まれの娘は2歳手前で急性脳症を発症し、重度知的障害・てんかんなど重い後遺症が残りました。現在ゆる~くトイトレにも挑戦中!

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